3D技術がもたらしたメリット
今回のプロジェクトは企画段階からわずか完成まで4カ月で完成までこぎ着けた。タイトなスケジュールが実現した背景には3D技術の活用がある。
「3Dデータを用いずに、ゼロからクレイモデルを作る従来の手法でははるかに長い時間がかかるだろう」と語ったのはLegacy EffectsでLead Artistを担当したJason Matthews氏。ロナウド選手をスキャンした段階で基本的な造形は決定できたため、すぐに細部の検討に入ることができたのだという。
また、内部機構の設計を担当したLead Animatronic DesignerのDavid Covarrubias氏は「これまでの手法では、最終クレイモデルが確定しないと内部機構の設計に移れなかったが、今回は3Dデータを見ながら作業を進められた」と作業フローの変化についても言及。各分野の作業を同時進行できるようになったことも効率化につながったと指摘した。
Legacy Effectsではかねてから3Dプリンティング技術を取り入ており、3Dプリンティングを活用した作品づくりに実績をもっていた。逆に考えれば3Dプリンティングを組み込んだ作業フローを確立していければ、プロジェクトに参画することはなかったはずだ。そういった意味で、今回のサイバークローンは、Legacy Effectsが培ってきた熟練の技術と3Dプリンティングという先端技術が融合したからこそ実現したプロジェクトといえる。
製作プロセスの紹介ムービーから抜粋 |