日本最大の文具アワード「第24回 日本文具大賞」の授賞式が、8日に東京ビッグサイトで開催された。授賞式は、リード エグジビション ジャパンが主催する「第26回 国際文具・紙製品展(ISOT)」内で実施され、会場にはメーカーや小売店関係者など多くの人が集まった。
新商品の中からピックアップ
「第24回 日本文具大賞」は、2014年7月12日以降に発表・発売された新商品とリニューアル製品の中で、「機能」「デザイン」面において特に優れた文具に贈られるもの。受賞製品は、「受賞ロゴマーク」を使用することができ、売り上げもぐんと上がるという。審査員の川崎和男氏は、授賞式で受賞製品や日本の文具の未来について次のように語った。
「大切なのは『問題解決商品』を作れるかどうか。消費者が求める性能・効能・機能面が優れていること、美的にできていることがポイントになります。今回選出された優秀賞受賞製品は、日本を代表する品。今後も文具業界が更に発展するよう頑張って欲しいです」(川崎氏)
「機能部門」グランプリは「万年筆のための紙」
日本文具大賞では、応募製品の中から「機能部門」5品、「デザイン部門」5品を優秀賞として選出。その中から、グランプリ製品を各1品選出するという形式をとる。
「機能部門」で栄えあるグランプリを受賞したのは、神戸派計画/大和出版印刷の「SUITO cleaning paper」。神戸の印刷会社が手がけた同製品は、「万年筆のペン先を美しくするため」だけに作られた製品だ。紙を「書くもの」として使うのではなく、メンテナンスアイテムにする革新的な発想と、万年筆のクリーニングに細部にまでこだわった点が評価された。
授賞式に参加した代表取締役社長 武部健也氏は「SUITOは万年筆を拭くためだけに作られた製品で、『万年筆のペン先を美しい所作で綺麗にしたい』という思いから誕生しました。万年筆を使わない人には全く意味が無いものですので、(グランプリに選んだ)審査員の勇気をたたえたいです(笑)。大和出版印刷は、30人にも満たない小さい印刷会社ですが、これからも、ものづくりにこだわった新しい製品・良い製品を作り出していきたいです」と喜びを語った。
SUITOを実際に使ってみると、万年筆のペン先が紙に触れた瞬間にじわっとインクが広がる。本来の目的は掃除なのだが、紙に染みていく様子が面白くつい見入ってしまう。インクの色を楽しむことができる一石二鳥の同製品、個人的には「インク沼」にはまってしまった万年筆ユーザーに強くおすすめしたい。
「機能部門」優秀賞4品
続いて「機能部門」の優秀賞受賞製品を紹介する。1つ目はカンミ堂の「PENtONE」。過去にマイナビニュースで紹介した同商品は、ペンと一緒に持ち運びやすくするため、ミシン目入りのロール形式を採用したフィルム付箋だ。持ち運びやすく詰め替えが可能というデザインと機能を両立させている点が、「付箋の可能性を高めた」と高評価であった。
ゼブラの「デルガード」は、世界初の機構「デルガードシステム」を採用。あらゆる角度の強い筆圧から芯を守る、「絶対に折れない」シャープペンシルとして話題になった。優秀賞受賞理由は、「世界初のシステムを搭載し、『折れないシャープペンシルという』ユーザーのニーズや問題を解決した」という点。こちらも過去にマイナビニュースで紹介している。
プラムネットの「ピタットルーラー [30] オレンジ」は、一見普通の定規のように見える製品だが使ってみるとすごさがわかる。軽い力でスムーズに動かせるのだが、押さえるとピタッと止まり、ペンやカッターを使うときにもずれることはない。定規に要求される「スムーズな移動」と「確実な固定」という相反する機能を両立した点が評価された。
マグネティック・ジャパンの「magnetic notes」は、どこでも貼り付く付箋。のりやテープ、磁石などを使っていないが、ピタッとくっつく。さらに、裏面はホワイトボード仕様になっているので、何回でも書きなおせる。受賞理由はのりを使わずに両面使用できる機能と、場所を選ばない情報の伝達・共有を可能にした点であった。