財務省は8日、2015年5月の国際収支状況(速報)を発表した。それによると、海外とのモノやサービスの取引状況などを示す経常収支は1兆8,809億円の黒字となり、5月としては2007年(2兆1,242億円の黒字)以来、8年ぶりの高水準を記録した。黒字は11カ月連続。黒字幅は前年同月と比べて1兆3,680億円拡大した。
第1次所得収支の黒字額は5月として最大
貿易・サービス収支は564億円の黒字で、2カ月ぶりに黒字へ転化した。「貿易収支」が赤字幅を縮小し、「サービス収支」が黒字に転化したことで、黒字となった。
貿易収支は473億円の赤字で、2カ月連続の赤字。赤字幅は前年同月より6,514億円縮小した。原油価格が前年比で低下したことなどから輸入額が減少したため、赤字幅が縮小した。
輸出額は前年同月比79億円(0.1%)減の5兆7,072億円と、27カ月ぶりの減少。輸入額は同6,593億円(10.3%)減の5兆7,545億円と、5カ月連続の減少となった。
また、同省関税局がまとめた2015年5月分貿易統計(通関ベース)によると、輸出額は同1,343億円(2.4%)増の5兆7,403億円となった。商品別では、半導体等電子部品が同336億円(11.8%)増、船舶が同304億円(37.1%)増、鉄鋼が同217億円(6.7%)減など。主要地域別では、対米国が同751億円(7.4%)増、対アジアNIEsが同741億円(6.0%)増などとなった。
輸入額は同5,657億円(8.7%)減の5兆9,575億円。商品別では、原粗油が同2,991億円(31.6%)減、液化天然ガスが同2,487億円(44.1%)減など。主要地域別では、対中東が同3,869億円(35.1%)減などとなった。
サービス収支は1,037億円の黒字で、2カ月ぶりに黒字へ転化。「知的財産権等使用料」が過去最大の黒字となったほか、訪日外国人が増加して「旅行収支」が黒字幅を拡大したことなどから、黒字に転化した。
第1次所得収支は2兆130億円の黒字で、黒字幅は同5,541億円(38.0%)拡大。直接投資収益が増加したことなどにより、黒字幅が拡大し、黒字額は5月として過去最大を更新した。
第2次所得収支は1,885億円の赤字で、赤字幅は同200億円縮小した。