2015年6月、"Broadwell-K"(開発コード名)こと、デスクトップ向けの第5世代Coreプロセッサが発売となった。これに先駆けて、マザーボードメーカー各社はBroadwell対応のBIOSを提供している。PC業界では、新製品への対応に限らず、不具合の修正や機能の追加などの理由からBIOSの更新を行うことがしばしばある。
かつてはちょっと面倒だったBIOSの更新も、現在では専用のユーティリティで楽になった。しかし、それでも万が一ということはある。もし、BIOSを更新する際にトラブルが発生し、BIOSが破損してしまったら……。
今回はGIGABYTEのマザーボードに搭載された「DualBIOS」を使って、BIOSにトラブルが発生した場合の対応を紹介する。
そもそも「BIOS」ってなに?
マザーボードのBIOS(Basic Input/Output System)は、接続されたグラフィックスカードやキーボードやマウス、ストレージデバイスなどを制御するために用いられている制御用プログラムだ。
近年では機能の複雑化が進み、入出力機器の制御だけでなく、電源管理や温度管理、オーバークロックへの対応など、PCの基本的な動作をつかさどる非常に重要な役割を果たすようになった。こういったBIOSの設定はマザーボードに取り付けられたFlash BIOSチップに格納されており、基本的にはユーザーが更新を意識する必要はない。
BIOSを更新することで最新の機能を利用可能
だが、前述した通り、新しいパーツへの対応や、不具合修正などさまざまな理由からら、BIOSを書き換えなければいけないシーンが現れる。BIOSの書き換え自体は「Q-FLASH Utility」や、Windows上で実行できるGIGABYTEのユーティリティソフト「@BIOS」などで簡単に行うことが可能だ。
しかし、BIOSの書き換え中に停電などのトラブルが発生、あるいは過度のオーバークロックといったことが原因でBIOSが破損した場合に加え、BIOS自体がウィルスに感染してしまったときに、そのマザーボードがまったく起動しなくなってしまうことがある。こうなってはユーザーはお手上げだ。
「DualBIOS」はどのような動作を行うのか?
そんな最悪の事態への対応策として挙げられるのが、「DualBIOS」だ。マザーボード上にメインBIOSとバックアップBIOSという2つのBIOSチップを搭載し、メインBIOSになんらかのエラーが検出された際にはバックアップBIOSからメインBIOSを復元する。
また、メインBIOSが破損してしまった場合には、バックアップBIOSをメインとして利用する。これらの一連の動作に操作が求められることはなく、不具合が発生したとしても「DualBIOS」が自動的に回復し、ユーザーはほぼ何もしなくてもシステムが再び動作可能となるわけだ。
では、DualBIOSが動作した際には、どのような画面が表示されるのだろうか。今回は、BIOSを更新している最中に無理やり電源を落とし、メインBIOSの内容を意図的に破壊してみた。
次の起動時にBIOSの診断が行われ、メインBIOSが不正な状態であることを検知。バックアップBIOSからリカバリーしてもOKかどうか問われるので、復旧させたい場合は"OK"を押してリカバリーを進めよう。メインBIOSへの書き込みが完了すると自動で再起動され、再度BIOSの状態をチェック。問題なければ、そのまま通常通りの起動プロセスが開始される。
オーバークロック機能に特化した上位モデルでは、2つのUEFI BIOSを任意に切り替えるための「DualBIOS Swicher」がバックパネルに搭載されている場合もある。
もしものときに備えて
BIOS更新の失敗は、慣れたユーザーであっても、ふとしたきっかけで起こってしまうもの。過去に痛い目に合った方、いざという時の「安心」が欲しい方は、「DualBIOS」のような機能を搭載したマザーボードを選ぶといいだろう。
より高度な設定や最新の技術、グラフィカルな設定画面を利用できるUEFIにおいてもこの「DualBIOS」テクノロジーは継承されている。
「DualBIOS」はGIGABYTE独自の機能だが、現在では他社製品でも複数のBIOSを搭載するマザーボードが増えてきた。もしものときに備えて、自分の使っているマザーボードの機能をよく確認しておきたい。