厚生労働省は6月25日、平成26年度の「過労死等の労災補償状況」を発表した。
精神障害の状況について取りまとめ
「過労死等」とは、「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう」と定義されている(過労死等防止対策推進法第2条より)。
同省では、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害の状況について、平成14年から、労災請求件数や、「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数などを年1回取りまとめ、発表している。
脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況
「脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況」では、請求件数は763件で、3年連続で減少した。支給決定件数も2年連続で減少し、277件(うち死亡121件)となっている。
業種別(大分類)で見ると、請求件数は「運輸業,郵便業」(168件) 、「卸売業,小売業」(126件)、「建設業」(97件)の順で多い。中分類では、「運輸業,郵便業」(120件)、「道路貨物運送業」(77件)が多くなっている。
支給決定件数を業種別(大分類)で見ると、「運輸業,郵便業」(92件)、「卸売業,小売業」(35件)、「製造業」(31件)が多く、中分類では「運輸業,郵便業」(120件)「道路貨物運送業」(77件)が多くを占めた。
年齢別で見ると、請求件数は「50~59歳」 (251件)、「40~49歳」 (222件)、支給決定件数は「50~59歳」 (111件)、「40~49歳」(93件)が多かった。
精神障害に関する事案の労災補償状況
請求件数は前年度より47件増え、過去最多の1,456件となった。支給決定件数はも497件(うち未遂を含む自殺99件)で、前年度比61件の増となり、過去最多となっている。
業種別(大分類)では、請求件数は「製造業」(245件)、「医療,福祉」 (236件)、「卸売業,小売業」(213件)の順に多く、支給決定件数は「製造業」(81件)、「卸売業,小売業」(71件)、「運輸業,郵便業」(63件)が多かった。
中分類では 、請求件数は「医療,福祉」の「社会保険・社会福祉・介護事業」(140件)、支給決定件数は「運輸業,郵便業」の「道路貨物運送業」(41件)が最多だった。
年齢別では、請求件数、支給決定件数ともに「40~49歳」「30~39歳」が多い。出来事別の支給決定件数は、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」(72件)、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」(69件) の順に多くなっている。