2015年に入って即席麺やパスタや食用油に始まり、冷凍食品やカレールウ、アイス、牛乳やヨーグルトなどの毎日の生活に欠かせない食品関連の多くが価格改定に伴い、値上げラッシュが続いています。今回はその実態をまとめてみました。
何がどのくらい値上げされているのかをきちんと把握しよう
2015年に入り、食品の価格が続々と上がっています。原因としては、急激な円安の進行や原材料価格などの高騰、物流費の増加などですが、生活に大きくかかわっている食品の値上げということで、何がどう値上げしているかを知ることは重要です。下のグラフを参考に具体的な例も含めて考えていきましょう。
まず、1月から値上げした即席麺についてですが、代表的な即席麺メーカーである日清食品も含め各々10円ほどの値上げとなっています。業界一斉値上げは2008年以来ですが、その時の値上げの大きな原因が小麦の世界的な高騰だったのに対して、今回はちょっと原因が違います。その理由は、円安です。即席麺のほぼ100%が輸入によって賄われていること大きな影響となっているようです。加えて、ドライバー不足による物流費の増加が大きくのしかかります。体積が多い割に単価が低い即席麺は特に影響が大きいわけです。
もちろん即席麺と同じように、小麦が原材料の多くを占めるパスタはおおよそ7%の増額、4月に値上げしたウイスキーに至っては20%ほどの値上げとなっています。ウイスキーの原料は麦芽とトウモロコシということになりますが、どちらも輸入に頼っている為大きく値を上げることとなりました。
乳製品の値上げで、毎朝の朝食も大幅にコストアップ!?
そしてトウモロコシの影響を大きく受けた業界が、乳製品です。3月と4月に値上げした牛乳・ヨーグルトに関してはおおよそ10円ほど。4月に値上げしたバターやチーズに関しては15円ほど。3月に値上げしたアイスクリームに関しては10円ほどの値上げとなっています。朝食に欠かせないコーヒーも4月から約17%程度の値上げとなっており、朝食1食分のコストも平均単価も上がってしまいそうです。
乳製品の生産コストの半分は、輸入に頼る牛の「エサ代」が占めています。エサとなる牧草やトウモロコシなどの価格が円安の影響もあって高騰したことが大きな原因ですが、エサ代の高騰に加え、口蹄疫の流行や震災、猛暑などの複合的な要因、また農業従事者の高齢化や後継者不足なども値上げ要因のひとつです。バターに関しては、2014年からスーパー店頭での品薄状態が続いていただけに、今回の値上がりで十分な量が出回る安定需給に期待がかかります。
円安だけが値上げの原因ではない
食用油も1月に値上げとなりました。家庭用油に関して1kgあたり20円ほどの値上げとなっています。これも原因は円安や物流費の増加、菜種の減産などが原因です。
ただし、値上げの原因はただ単に円安だけではありません。牛肉やエビなどの原材料費が上がってしまったことで冷凍食品が2月から3%から10%ほどの値上げ。トマトの仕入れ値が新興国での需要が高まったため値上げし、その影響でトマトケチャップは4月から5%前後の値上げとなっています。
給料がよくなった、日本国内での景気が上向いていると言われていますが、それだけでは追いつかないほどの生活必需品の高騰が相次いでいます。円安も大きな原因となっているため、この現状がずっと続くかどうかはわかりませんが、何十年ぶりの値上げとなっている業界も多いこともまた事実です。生活に欠かせない必需品だからこそ、なぜ? どうして値上げするのかをきちんと把握して、各家庭のお財布と相談しながら、毎日の食事を上手に楽しむことが肝要になってくるでしょう。
(※写真画像は本文とは関係ありません)
株式会社回遊舎
"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」「J-REIT金メダル投資術」(株式会社秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」(株式会社ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(株式会社廣済堂出版)など。