たくさんの人から祝福される結婚。会社によっては結婚祝い金を社員に出しているところもありますが、実は自治体からもお祝いとして助成金を付与する制度があることをご存知でしょうか。結婚祝い金を受け取る条件は自治体によって違うので、いくつか具体的にご紹介します。
10年以上の定住が条件になることも
そもそもなぜ、自治体は助成金を行っているのでしょうか。そのひとつの理由が、過疎化が進んでいる中で人口を増やすためです。助成金といえば、住宅建築を補助するものや生活補給金の給付などが一般によく知られていますが、結婚祝い金もひそかに注目を集めています。
現在、全国25以上の自治体が結婚祝い金を実施していますが、基本的にその街に定住することが前提となります。また、金額は1組につき3万円から20万円と自治体によって差もあります。いくつか実例を見てみましょう。
まずは関東圏。群馬県では桐生市、上野村、神流(かんな)町などが結婚祝い金制度を導入しています。桐生市内の一部の地区で、10年以上の定住を誓約した夫婦に5万円を支給しており、また、上野村では婚姻届が受理された日から1カ月以内の申請でなんと20万円ものお祝い金が付与しています。ただし、10年以上住み続けることが条件です。
東北では、福島県川内村や山形県遊佐(ゆざ)町が結婚祝い金を採用しています。川内村でも金額は20万円です。一方、遊佐町では婚姻届を出す以前に夫妻のどちらかが住所を移していることや、40歳未満であるなどの条件があります。そして、北海道北竜町では結婚祝い金は5万円となっています。特に北竜町は不妊治療にも助成金を出すなどの取り組みも行っています。
また、助成金を現金以外の方法で行っている自治体もあります。例えば、広島県神石高原(じんせきこうげん)町では、「こうげん通貨」という自治体独自の通貨にて現金3万円相当を提供しています。そのほか、北海道芦別(あしべつ)市や香川県さぬき市では10万円分の商品券を付与しています。
出産や育児、住宅支援も
各自治体の目的が人口を増やすことなので、基本的に地方であることが多いといえるでしょう。そして、ほとんどの自治体では10年以上の定住を条件としています。また、婚姻届を出す時にすでに夫婦のどちらかがその町や村に住民票を持つことも条件としている自治体が多く、婚姻届を出して1~2カ月以内の届け出も必要です。
申請方法は各自治体のウェブサイトで公開しています。申請書をダウンロードできるページを設けている自治体もあるので、必要書類をそろえて、記入して提出するだけで手続きは完了です。
結婚祝い金を用意している自治体は、他にも出産祝いや子育て支援、家を建てる際の支援など、定住をサポートするさまざまな助成金制度を持っていることが多いので、合わせてチェックしてみてください。結婚を機に引っ越しを考えている夫婦なら、移住前に調べておくとおトクかもしれません。
※写真はイメージで本文とは関係ありません
筆者プロフィール: 武田明日香(たけだ あすか)
エフピーウーマン所属ファイナンシャルプランナー。南山大学経済学部卒業後、大手印刷会社に入社。2010年に、法人営業の仕事をしながら自己啓発のためにファイナンシャルプランナーの資格を取得。「女性がライフステージで選択を迫られた時に、諦めではなく自ら選択できるための支援がしたい」という想いから、2013年にファイナンシャルプランナーに転身。日本テレビ「ZIP!」やTBSテレビ「あなたの損を取り戻せ 差がつく! トラベル!」「Saita」「andGIRL」等の雑誌、「webR25」「わたしのマネー術」等のウェブサイトなど幅広いメディアを通じ、お金とキャリアの両面から女性が豊かな人生を送るための知識を伝えている。お金の知識が身につく初心者向けマネーセミナー受付中(受講料無料)。