多種多様な候補から自分好みの端末を選択でき高度なカスタマイズが可能、それがAndroidの魅力であり強みです。しかし、その自由度の反面わかりにくさを指摘されることも少なくありません。このコーナーでは、そんな「Androidのここがわからない」をわかりやすく解説します。今回は、『microSDカードに「デフラグ」は必要ですか?』という質問に答えます。
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パソコンの経験が長いと、使い続けるうちにディスクの読み書き速度が低下する現象に遭遇したことがあるかもしれません。それは、ディスクの断片化(フラグメンテーション)によるもので、補助記憶装置に対しファイルの書き込み/削除を繰り返し行うことが原因です。論理的には連続していても物理的に離れた位置にファイルが記録されると、読み出し装置の物理的な移動幅が大きくなり、それが速度低下を引き起こします。
そのフラグメンテーションを解消するための作業がデフラグメンテーション、通称「デフラグ」です。補助記憶装置上のファイルを先頭から再配置しすることで、断片化してしまった領域が物理的に連続するようになり、読み出し速度も改善されます。
現在のOSは、フラグメンテーションを起こしにくいよう(あるいは定期的に自動実行するよう)改良されてはいますが、それでもある程度は発生します。Android OSも例外ではなく、microSDカードを取り出してパソコンで確認すれば、フラグメンテーションが発生していることがわかります。
しかし、Android OSにかぎらず、microSDを含むフラッシュメモリにデフラグは必要不可欠ではありません。ハードディスクには読み取り用のヘッダやアーム、高速回転するディスクなど可動部が多く、ファイルの記録位置が物理的に離れていると読み取り速度が低下しますが、フラッシュメモリを利用した記憶媒体であるSDカードには可動部が存在しません。書き換え可能回数の上限が少ないというフラッシュメモリの特性もあり、デフラグはむしろ避けるべきです。
もっとも、microSDにフラグメンテーションが発生しないという意味ではありません。パソコンのユーティリティソフトを使うなどしてデフラグを実行することは可能ですし、実行すれば多少の性能向上もあるでしょう。しかし、大量の書き込みを行うデメリットのほうが大きく、可動部があるハードディスクほどの効果も期待できません。どうしてもデフラグ相当の効果を得たいのならば、内容をバックアップしてから初期化(フォーマット)し、その後書き戻すほうが合理的です。