井の頭自然文化園(東京都武蔵野市)は6月12日、公式Webページにて、ニホンリスの子育ての様子を紹介した。

丸まると太った子リス。推定25日齢前後で、体重73.5グラム

ひとりっ子のニホンリスは健康優良児

ニホンリスは現在、繁殖シーズンのまっただなか。同園のウォークスルー型の展示施設「リスの小径」と、繁殖専用「繁殖棟」(2棟)では、例年どおり順調に子リスたちが育っている。今年は3月初旬に最初の出産ラッシュを迎え、この時期に小径で生まれた9頭の子リスたちはすでに独り立ちしている。

6月1日に小径の巣箱チェックを行い、繁殖状況を調べたところ、子育て中の巣箱が4個あり、計13頭の子リスを確認できた。子リスの成長具合から逆算すると、4月下旬から5月初旬にかけてが第2の出産ラッシュのようだという。母リスは普通、ケージの天井近くの金網に一列に並べて設置してある巣箱で出産して子育てをする。しかし、今回の巣箱チェックでビックリするようなことがあった。

リスのひとりっ子が育つ「お遊び」巣箱

巣箱から顔を出して休むリスの姿を間近で見てもらうため、同園では小径の出口付近にはあえて低い位置に、三角屋根の小さな「お遊び」巣箱を1つ設けている。飼育員が「ここも一応チェックしておこう」と屋根を開けてみたところ、大きな赤ちゃんが1頭入っていた。おとな1頭でいっぱいになってしまうくらいの小さな巣箱だが、巣材もきちんと整えられ、どうやらちゃんと育児している様子だった。

繁殖棟で別の個体を体重測定したところ、30日齢で58グラムだった

ニホンリスは普通、3~4頭出産することが多いようだが、ひとりっ子は母親のおっぱいを独り占めできるからなのか、丸々と太っている。目が開く直前であり、外貌から判断すると約25日齢前後と推定される。体重を計ってみたところ、73.5グラムもあった。同じ日に計測した目が開いたばかりの30日齢の子リスの体重が58グラム、この個体が27日齢のときは50グラムで、ひとりっ子リスの健康優良児ぶりが際だっている。

赤裸で生まれてくるリスの赤ちゃんが巣箱から顔を出ようになるまでには、生まれてから約40日かかる。同園では、母親が巣箱を移動してしまわなければ6月中旬以降、この子リスが巣箱から顔をのぞかせる姿を間近で見られるかもしれない、と話している。