都会の喧騒を離れ、心も身体も解放する沖縄の旅。しかし知名度の高いビーチは観光客が多く、非日常の時間をのんびり味わうのが難しいことも。そこで今回は、観光客が比較的少ない"穴場ビーチ"をこっそりと紹介したい。
北部観光のルート脇に隠れたホワイトサンドビーチ
沖縄自動車道・許田ICから約10分。「沖縄美ら海水族館」方面へ北上する車道の脇に、実は絶景ビーチが隠れている。起伏のある公園によって視界が遮られているため気付かない人がほとんどだが、車道からわずか数十mの距離に美しいビーチが広がっているのだ。
目を見開くことも難しいほどまばゆく輝くホワイトサンドビーチに、クリアブルーの海……。この本島北部の「21世紀の森ビーチ」は、地元民の憩いの場として親しまれているスポットだ。シャワーやトイレも完備しており、もちろん遊泳も可能。地元の人々に混じって、名護湾に抱かれた穏やかなビーチで泳いでみよう。
●infomation
21世紀の森ビーチ
沖縄県名護市宮里 2-2
読谷村にひっそりとたたずむ、絶景の隠れビーチ
那覇空港から車で1時間ちょっと。本島南部の読谷村(よみたんそん)といえば、焼き物「やちむん」など観光資源豊富な"日本一人口の多い村"。そんな読谷村の中心部からほど近い「渡具知(とぐち)ビーチ」は、車でのアクセスの良い場所にありながら、隠れビーチと呼ぶにふさわしい雰囲気をまとっている。
同ビーチは観光雑誌にもあまり載らないため、訪れるのは地元の人々がほとんどだ。週末には芝生でBBQを楽しむ家族連れや、米軍基地で働く在留アメリカ人でにぎわう。なお、BBQ利用の予約は10人以上から受け付けているが、平日は3人~の少人数でも可。器材や食材がセットになった「完全手ぶらBBQセット」(2,500円・税別)を用意しているので、旅行者でも気軽に楽しめる。食材の持ち込みはNGなので気をつけて。
潮の満ち引きによって大きくイメージを変える海岸部は、干潮時には磯遊びが楽しめるほどの岩場が現れる。潮だまりにはたくさんの小魚や貝、エビなどが見られ、生き物たちを眺めるだけでも飽きない。
満潮時には打って変わって、海水面から奇石が突出。海外リゾートのような独特の雰囲気を楽しめる。小高い丘からビーチを眺めれば、対岸にある北谷町の街並みも見渡せる。
●infomation
渡具知ビーチ
沖縄県中頭郡読谷村渡具知228
BBQエリア利用料: 「完全手ぶらBBQセット」2,500円(器材・食材込・税別)
喧騒から離れた小さな離島の小さなビーチ
最後は離島「奥武島(おうじま)」のビーチへ行こう。離島と言っても、那覇空港から南へ約40分のドライブで行けるお手軽な場所である。
奥武島から見える海の色は、深い緑が特徴的なエメラルドグリーンだ。この島と沖縄本島南部の南城市を結ぶのは、全長100mほどの短い橋。この橋のたもとにひっそりと広がる小ぶりなビーチが、穴場「奥武(おう)ビーチ」だ。
この小さなビーチでは、春先から島の子供たちの笑顔が弾けている。全身で海遊びを楽しみ、夕暮れ時には家路に着く。ずっと変わることのない穏やかな島の風景は、人と自然の距離がとても近いことを教えてくれる。初めて訪れたのにどこか懐かしく感じるのは、きっとそのせいに違いない。
一周2kmにも満たない小さな島ながら、隠れた絶景スポットがそこかしこに点在する「奥武島」。"島人"と同じ目線で、美しい景色が身近にある贅沢な日常を味わってみてはどうだろう。
●infomation
奥武島
沖縄県南城市玉城奥武
有名な観光地のすぐそばに、誰も気にとめない美しい景色がひっそりとたたずむ沖縄。旅も人生も、思いがけない所に新たな発見があるのかもしれない。自分の直感を信じて寄り道してみるのもたまにはアリ。そんな小さな冒険が、特別な風景に導いてくれるはずだ。
※記事中の情報・価格は2015年5月時点のもの
著者プロフィール:阿久津 彩子(あくつ あやこ)
東京都出身のフリーライター。大手商社勤務を経て独立。2011年より沖縄へ移住し、WORD WORKS OKINAWAを立ち上げる。ビジネス系ライティングから沖縄観光情報、葬儀・仏壇まで、幅広く執筆・撮影。沖縄・国際通りの隠れ家喫茶「路の上のカフェ日日」のオーナーでもある。