和歌山電鐵の「社長代理ウルトラ駅長たま」が22日に急逝した。同社は28日、12時30分から貴志川線貴志駅にて神式での社葬を執り行う。

「たま」駅長がモチーフの「たま電車」は岡山電気軌道でも運行される(現在は車両点検・整備のため、7月下旬頃まで運休予定)

「たま」は1999年4月29日生まれ。和歌山電鐵貴志川線(和歌山~貴志間14.3km、旧南海電鉄貴志川線)の開業セレモニーが開催された2006年4月1日、同社代表取締役社長の小嶋光信氏(両備グループ代表)との出会いがきっかけとなり、翌年1月に貴志駅長の辞令が交付され、全国初となる民営鉄道会社の猫駅長に就任した。

「たま」駅長の登場で国内外から多くのファンが訪れるようになり、貴志川線の経営再建のみならず、和歌山県の観光面にも大きく貢献。2008年に「スーパー駅長」(課長職)へ昇格し、2009年に執行役員、2011年に常務執行役員に就任するなど、異例のスピード出世を果たした。2012年から新たに「ニタマ」が部下となり、2013年、「たま」は同社ナンバー2にあたる社長代理に就任。昨年、「たま」は「ウルトラ駅長」(貴志川線14駅の総駅長職)に、「ニタマ」は「スーパー駅長」にダブル昇進している。

和歌山電鐵貴志川線では2006年4月の開業以降、「いちご電車」「おもちゃ電車」と個性的な電車をデビューさせており、2009年には「たま」駅長がモチーフの「たま電車」も登場。貴志駅の駅舎もリニューアルされ、猫の顔に見える檜皮葺きの屋根を持つ駅舎に生まれ変わった。親会社の岡山電気軌道でも、2009年4月から「たま電車」が運行されている。

「たま」駅長は今年4月に16歳(人間年齢で80歳)の誕生日を迎え、傘寿のお祝いとして「たまMOMO」(「たま」駅長と岡山電気軌道のLRT「MOMO」から命名された桃の木)の植樹祭を行った。その頃から鼻炎のため、少し元気がなかった様子で、5月から治療に入っていたという。Twitterアカウント「駅長たま」の更新は6月に入ってからも続けられ、6月23日には写真とともに「にゃんご!」とツイートしていた。

6月28日の葬儀中、貴志駅コンコースは使用できない状態となるため、「大変ご迷惑をおかけいたしますが、ホーム和歌山寄りの出入口をご利用ください」と和歌山電鐵。なお、玉串料、御供物、供花などに関して、「かたくご辞退申し上げます」としている。