日本銀行は24日、5月21~22日に開催した金融政策決定会合の議事要旨を発表した。それによると、予想物価上昇率について、一人の委員が「今年度後半に顕著に上昇するとのシナリオは描き難い」との見方を示したことがわかった。

この委員は、2015年度の所定内賃金の上昇率は0%台半ば程度にとどまると予想していたほか、成長率についても展望レポートの中心的見通しより弱めになると見込んでいた。一方、多くの委員は、原油安の影響が薄れるに伴い消費者物価は伸び率を高め、2016年度前半頃に2%程度に達する可能性が高いと認識していた。

景気については、「家計・企業の両部門において、所得から支出への前向きな循環メカニズムがしっかりと作用し続ける中で、緩やかな回復を続けている」との見方を共有。また、ある委員は「公共投資が緩やかな減少傾向に転じている中でも経済成長が続いていることは、前向きな循環メカニズムがしっかりと作用している証拠だ」と述べた。

個人消費については、多くの委員が「底堅さを増している」との認識を示した。先行きの個人消費については、「引き続き底堅く推移する」との見方で一致した上で、複数の委員は、足もと、耐久財や日用品の販売が力強さを欠いている背景として、「物価上昇に対する抵抗感や低価格志向の消費者行動が残存していることが影響している可能性」があると指摘した。