通年性アレルギー性鼻炎でつらい鼻水とくしゃみ
スギ・ヒノキ花粉の飛散シーズンは2月~5月。もう花粉は飛んでいないはずなのに、鼻水が止まらなくてつらい……という人はいませんか? 実は、花粉症を含むアレルギー性鼻炎には、一年中症状が続くものがあります。今回は、いつ誰が発症しても不思議ではない「通年性アレルギー性鼻炎」についてお話しします。
アレルギー性鼻炎とは?
アレルギー性鼻炎は、鼻から吸い込んだアレルギーの原因物質(アレルゲン)を"異物"と判断し、防御反応が働くことによって起こります。主な症状としては、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの3つ。ほかの風邪症状はないのに、くしゃみを連発する、透明でサラッとした水様性の鼻水が出る、鼻づまりが治らないといった場合は、アレルギー性鼻炎の可能性があります。
症状が発生するメカニズムとして、まず、アレルゲンを鼻から吸い込むと、体の中に「IgE抗体」と呼ばれる抗体がつくられ、かゆみや炎症を引き起こす化学伝達物質をたくわえ、鼻の粘膜にある肥満細胞に付着します。アレルゲンとの接触で、この肥満細胞が活性化すると、「ヒスタミン」や「ロイコトリエン」が大量放出されることに。鼻の神経に作用するヒスタミンは、鼻づまりに比べてくしゃみや鼻水をより強く誘発します。一方、ロイコトリエンは鼻の粘膜の血管に作用し、鼻水以外に鼻づまりをより強く起こします。
前述のとおり、アレルギー性鼻炎は、一年中症状が出る「通年性アレルギー性鼻炎」と、花粉が飛ぶ季節にだけ症状がある「季節性アレルギー性鼻炎」(以下、花粉症)に分けられます。花粉症では、鼻の症状に加え、目のかゆみやのどの違和感なども伴います。また、通年性アレルギー性鼻炎と花粉症の2つを発症する人もいます。
通年性アレルギー性鼻炎の原因は「ハウスダスト」
通年性アレルギー性鼻炎と花粉症では、アレルゲンが異なります。通年性アレルギー性鼻炎のアレルゲンの約7~8割は、ダニを主とした室内のハウスダスト。ハウスダストには、ダニのふんや死骸、ゴキブリなどの昆虫、チリやほこり、ペット類の毛、カビなども含まれます。
一方、花粉症のアレルゲンは花粉です。花粉の種類には、代表的なスギやヒノキのほか、ブタクサ、シラカバ、カモガヤなどがあります。地域によって花粉の種類や飛散時期、飛散量などが異なるので、症状にも大きく関係します。
5歳未満の子どもが発症することも
通年性アレルギー性鼻炎は、花粉症と同じで、ある日突然発症することがあります。一度発症すると、治療を行わない限り症状を抑えることは難しく、アレルゲンのあるところでは症状が出ることになります。また、アレルギー体質(アトピー素因)は遺伝するともいわれ、親の症状がそのまま子に遺伝することもあるでしょう。
興味深い傾向として、通年性アレルギー性鼻炎は10~20代の若者に多く見られ、スギ花粉症は30~40代の人に多いというデータもあります。また、10歳未満の小児でも、0~4歳の子どもでは、スギ花粉症の割合は1.1%なのに対し、通年性アレルギー性鼻炎は4.0%、5~9歳の子どもでは、スギ花粉症は13.7%なのに対し、通年性アレルギー性鼻炎は22.5%と、いずれも通年性アレルギー性鼻炎が上回る結果に。スギ花粉症の割合が通年性アレルギー性鼻炎の割合を超えるのは、30歳以降とされています(「鼻アレルギー診療ガイドライン2013」より)。通年性アレルギー性鼻炎は、子どもでも発症する可能性がある病気ということがわかりますね。
予防のポイントは「自宅のダニ退治」
予防法は、自宅での対策が鍵になります。アレルゲンとの接触を絶ち、特に"自宅にダニの巣を作らないこと"を心がけましょう。
<主な予防法>
・室内を掃除機でこまめに清掃する。空気清浄機も有効。
・カーペット、マットをできるだけ避ける。フローリングが効果的。
・カーテンの代わりにブラインドを使用する。
・部屋の湿度は50%、温度は20~25度を目安に保つ。
・ふとんに専用の掃除機をかける。
・ぬいぐるみは丸洗いできるものを選ぶ。
・ペットを寝室に入れないようにする。
症状の程度には、ストレスや疲労、喫煙も影響すると考えられます。ストレスや疲労で自律神経が乱れると、症状が悪化してしまうことがあるので、運動などによるストレス発散は大切です。また、喫煙は鼻の粘膜を刺激する可能性があります。症状があるときはできるだけ控えた方が良いでしょう。