消費税アップ、円安、天候不順と、身近な商品が値上がりする要素が満載の今日この頃。確かに、スーパーで買い物をしているとそれを実感せざるを得ません。そんな今、せっかく貯めたお金を目減りさせないためにはどうすればいいのでしょう。
「給与の増加額や預金金利」<「物価上昇率」、これが現実
先日、厚生労働省が発表した2014年度の毎月勤労統計調査(確報)によると、現金給与総額は平均で前年比0.5%増の31万5984円。賞与や残業代の増加で、4年ぶりにプラスに転じました。ところが実際は物価の上昇に届かず、物価の影響を加えた実質賃金は4年連続の減少。しかも、1990年度の統計開始から最大のマイナス3.0%の減少幅だったのです。
要するに収入は増えているけれど、それ以上に物価が上昇し実質収入は減少。預金しているお金も金利から物価上昇率を引くとマイナスですから、わずかでも利子がついているのかと思いきや、実は目減りしていたのです。
いま債券投資をするなら、個人向け国債「変動10」
株式などに投資するのは恐いけれど、1年物の利息が0.025%の定期預金では……と考える人にとって、次の選択肢となるのは債券。発行体のリスクはありますが、元本保証で期間と利回りが確定しているので、運用初心者でも購入しやすい商品です。個人が買える主な債券は国債と社債ですが、長期金利の低迷を受けて最近は社債の起債が少なく、買いたくても選択肢がとても少ないのが現状です。
というわけで、債券運用を考える人が現時点でチェックすべき債券は国債ということになります。個人向け国債は以下の3種類。いずれも銀行、証券会社、信用金庫、ゆうちょ銀行など多くの金融機関で購入することができます。
この3種類の中で、いま買うなら迷わず「変動10」を選んでください。というのも、日米欧の量的金融緩和策の行方が読めない、国際的な監督規制で銀行が保有する国債の残高を制限することが検討されているなど、この先、金利が上昇に転じるタイミングが見えにくいのが現状です。そんな中で、現在の低金利を長期間固定してしまう商品は避けた方がいいから。
「変動10」ならば半年ごとに適用利率が見直されますから、金利が上昇したら自動的にそれに対応してくれます。現在の金利でも、ネット銀行の1年定期と比べると2倍程度はあります。証券会社の中にはネットで購入できるところもありますから、ぜひチェックしてみましょう。
金利や物価の上昇をカバーする投資信託とは?
物価や金利の上昇リスクをにらんだ商品は投資信託にもあります。
最近人気を集めているのが、物価動向によって元金額や利払額が増減する国債=物価連動国債に投資するファンド。物価が上昇すれば、その上昇率に応じて元金額が増加するため、将来のインフレリスクをヘッジすることができます。ただし、物価が下落すると元金額が減少することも理解しておかなくてはいけません(2013年以降に発行された物価連動国債は額面金額で償還される元本保証が設定されています)。
これまでは機関投資家しか購入することができなかったため個人が保有するのは投資信託に限られましたが、2015年からは個人保有が解禁されました。2016年度には金融機関の窓口で10万円単位程度での販売も計画されており、個人でも直接購入することができるようになりそうです。
他にも、金利が上昇(=債券価格は下落)するときに利益が出るように設計された債券ベア型ファンド、金利上昇局面に価格が上昇する変動利付国債で運用するファンドなどが、金利上昇に向けて注目を集めています。興味がある人は、ぜひウォッチしてみてください。
<著者プロフィール>
鈴木弥生
編集プロダクションを経て、フリーランスの編集&ライターとして独立。女性誌の情報ページや百貨店情報誌の企画・構成・取材を中心に活動。マネー誌の編集に関わったことをきっかけに、現在はお金に関する雑誌、書籍、MOOKの編集・ライター業務に携わる。ファイナンシャルプランナー(AFP)。