お笑いコンビ・ピースの又吉直樹が、小説『火花』で芥川賞候補に選ばれたことが19日、発表された。
選考会は7月16日17時より、東京・築地の料亭「新喜楽」で開催。受賞作は同日のうちに発表される。
又吉は、芥川龍之介の小説との出会いが、読書にのめり込むきっかけであることを明かしており、好きな作家にも必ず芥川の名前を挙げている。三島由紀夫賞は惜しくも受賞を逃したが、敬愛する作家を冠した賞で、リベンジを果たすことができるのか。
なお、又吉と最後まで競って三島由紀夫賞を受賞した、上田岳弘氏の『私の恋人』は、今回の芥川賞の候補作になっていない。
『火花』は、売れない芸人・徳永と、その彼が師と仰ぐ先輩芸人・神谷の姿を通して、「笑いとは」「才能とは」「生きるとは」「人間とは」を描いた、又吉にとって初の純文学作品。掲載された文芸誌『文学界』は、異例の大増刷を記録している。
3月11日に出版された書籍版の売り上げは、30万部を超えており、オリコンの2015年上半期"本"ランキング(集計期間:2014年11月17日~2015年5月17日)の文芸・小説部門で1位、BOOK(総合)部門でも4位に入った。
今年3月8日、又吉は、フジテレビ系トーク番組『ボクらの時代』(毎週日曜7:00~7:30)に、芥川賞作家の中村文則氏と、直木賞作家の西加奈子氏とともに出演。『火花』について、中村氏は「面白かった」と絶賛し、西氏は、感動のあまり涙を流したというエピソードまで明かしている。
第153回芥川龍之介賞候補作品
内村薫風『MとΣ』
島本理生『夏の裁断』
高橋弘希『朝顔の日』
滝口悠生『ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス』
羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』
又吉直樹『火花』
第153回芥川龍之介賞選考委員
小川洋子、奥泉光、川上弘美、島田雅彦、高樹のぶ子、堀江敏幸、宮本輝、村上龍、山田詠美
●正賞:時計 ●副賞:賞金100万円