沖縄で"海"と言えばビーチをイメージする人が多いと思うが、今回は自然が作り出した絶景"岬"にスポットを当てて紹介したい。本島西海岸に集中する岬を巡り、究極のオキナワンブルーを堪能しよう。
琉球王が称賛した景勝地
18世紀初頭、琉球の王が「万人を座するに足る草原」と称したことがその名の由来とされる「万座毛(まんざもう)」。高さ20mを超える隆起サンゴ礁の岩肌が神々しい存在感を放っている。象の鼻に見立てられる岬の突端(とったん)に、どこまでも続く大海原、打ち寄せては砕ける波……訪れる者の感性を刺激してやまない、悠久の歴史が息づくパワースポットだ。
「万座毛」では断崖絶壁の岬だけでなく、絶壁の下に広がる青い海にも注目したい。その透明度は極めて高く、海底の様子がくっきり見えるほど。荒々しい岩肌に負けず劣らずのダイナミックな姿に魅せられてしまう。
また、「万座毛」の駐車場に面する土産物店も忘れてはいけない。カラフルなムームー(南国風のドレス)やアクセサリーなどが並び、どことなく東南アジアを思わせるその店先の様子は、筆者が知る限りずっと変わっていない。
●infomation
万座毛
沖縄県国頭郡恩納村恩納2871
白亜の灯台から見た忘れられない景色
続いて紹介したいのは、沖縄本島中部の最西端。読谷村(よみたんそん)に位置する「残波岬(ざんぱみさき)」だ。岬の突端からは慶良間諸島まで見渡すことができるが、さらなる絶景を求めるならば、白亜の灯台「残波岬灯台」に一度は上らねばなるまい。
灯台内部の最下層から最上部へと続くらせん階段は、全部で99段。上る途中に外の景色を見ることが一切できない、まるで訪れる人を試すような階段だ。筆者も激しく息切れしながら何度も心が折れそうになったが、もう後戻りはできない。ただひたすら無心で階段を上がり、ようやく最後の一段に到達!
たどり着いた先には、現実感を失わせるほどのパノラマビューが広がっていた! 31mもの高さから眺める景色は、とにかく「圧巻」の一言。吹き抜ける風はどこまでも心地よく、はるかかなたに映る島々をぼんやりと眺めていると、自分自身も風景の一部に溶け込んでいくような感覚になる。また、実は夕日のベストスポットでもあり、日が沈む頃に訪れるのもオススメだ。
●infomation
残波岬
沖縄県中頭郡読谷村字宇座
泳がずとも訪れたい 美しすぎる青の岬
最後に紹介するのは、日本の"青の洞窟"として全国的な知名度を誇る「真栄田岬(まえだみさき)」。多くの観光雑誌でダイビングやシュノーケリングのおすすめスポットとして紹介されているが、純粋に絶景だけを目的に訪れても十分楽しめる。
高台から海面へと続く階段を下ると、そこにはサンゴ礁に隠れた無数の魚影が。海岸から数十mも浅瀬が続いているので、スズメダイやクマノミなどの熱帯魚にすぐ間近で出会えてしまう。また、冬場から春先にかけては、岬沖合にザトウクジラがやってくることも。"青の洞窟"があるのは階段から右側に100mほど進んだ崖の下で、取材時もシュノーケリングやダイビングを楽しむ人々がひっきりなしに訪れていた。
●infomation
真栄田岬
沖縄県国頭郡恩納村真栄田469-1
岬の上で感じる日差しや風は、自然が作りだした特別なもの。四方を海に囲まれた沖縄には、魅力的な岬が数多くある。日常を一瞬で忘れてしまうような絶景に触れて、頭の中をクリアブルーに染めてみるのも悪くないのではないだろうか。
※記事中の情報は2015年5月時点のもの
著者プロフィール:阿久津 彩子(あくつ あやこ)
東京都出身のフリーライター。大手商社勤務を経て独立。2011年より沖縄へ移住し、WORD WORKS OKINAWAを立ち上げる。ビジネス系ライティングから沖縄観光情報、葬儀・仏壇まで、幅広く執筆・撮影。沖縄・国際通りの隠れ家喫茶「路の上のカフェ日日」のオーナーでもある。