ドローン(無人飛行機)による荷物の運搬で話題になった米Amazon.comの配達サービスだが、次なる同社のアイデアは機械に頼るのではなく、再び人力を活用するという。ただしUPSのような既存の配達事業者ではなく、時間の余った一般の人々が携帯アプリを使って配達業務を行い、それに対して報酬を支払う形態を検討しているようだ。これを実現するため、荷物をストックするための専用スペースの借用も検討しているようで、実現すると新たな動きとして注目されそうだ。
同件はWall Street Journalが報じている。「Amazon’s Next Delivery Drone: You (Amazonの次なる配達ドローン、それは貴方)」というタイトルからもわかるように、自らが配達ドローンとなってAmazon.comの業務を請け負うことになる。内部でのプロジェクト名は「On My Way」と呼ばれているようだが、この配達業務を請け負ってみたいと考える人は、携帯アプリを介して応募が行えるようになっている。
もし余った時間があったり、自身の移動ルートのついでに配達が可能な状態にあったら、"ついで"にアルバイト感覚で配達が行えるというわけだ。商品のストック用に店舗スペースの一部を借り受ける仕組みも模索しているようで、配達人はここで"集荷"して目的地への運搬を行うことになる。おそらくは、この携帯アプリを介して成功報酬も支払われるとみられる。現在はまだ検討段階であり、登場する時期や、実際にサービスとして展開されるのかについては不明だ。
同社がこうした新方策を模索する理由の1つとしては、配達コストの増加が考えられる。WSJによれば、昨年2014年の同社の配達コストは31%上昇しており、これは同社の売上増加スピードを上回っている。おそらくは人件費上昇が配達料金に反映された結果とみられ、この傾向は今後続いていくと考えられる。専門サービスでない一般人を配達人として雇用するのは、安全面や信頼性、そのほか保険などの面で種々の問題を抱えているが、今後それも含めた形でサービスの検討が進んでいくだろう。