オンキヨー&パイオニア イノベーションズは6月16日、カスタムインイヤモニター「IE-C1」「IE-C2」「IE-C3」の新製品発表会を開催した。発売は7月17日。価格はオープンで、推定市場価格は、IE-C1が59,800円前後、IR-C2が79,800円前後、IE-C3が119,800円前後(すべて税別)。
同製品群は、オンキヨーと、シーメンスの補聴器部門であるシバントス社が共同開発したカスタムメイドのインイヤモニター(以下、IEM)。シバントスは70年にわたって補聴器を生産しており、高いノウハウを持つ。
発表会では、オンキヨー&パイオニアイノベーションズ 代表取締役社長 宮城謙二氏が登壇。今回発表した3製品について「渾身のプロジェクト」であると語った。製品のポイントとなるのは、「納期の短縮」と「装着感の向上」だ。
カスタムIEMとしては異例の、納期7営業日を実現
通常、カスタムIEMを入手するためには、まず耳の型を採取して、その耳型に合うようにイヤホンの加工を行い、出荷という流れになる。シバントスは、耳型を3Dスキャンしてデータ化。さらに耳型を3Dプリンタで成型することで工期を短縮。また、耳型の採取、注文、製作、納品をすべで国内拠点で行うことにより、通常は1.5カ月~3カ月かかる納期を、耳型が届いてから7営業日にまで短縮している。工場は神奈川県相模大野にあり、すべてメイドインジャパン。耳型の採取と製品の注文は、シバントスの製品を取り扱う販売店900カ所以上で行える。
装着感と遮音性をカスタマイズ可能
IEMは、もともとプロミュージシャンがステージ上で使用するために開発されたものだ。高い密閉度と遮音性によって、ステージ上でも自分の演奏のモニターが可能で、さらに、ステージ上の大音量から耳を守ることもできる。
シバントス サプライチェーンマネジメント部 大山清和氏によって語られたのは、IEMの装着感と遮音性の関係について。遮音性を高くするにはIEMを耳に密着させる必要があるが、密閉度が高すぎると装着感が損なわれる。また、スポーツなどアウトドアで使用する場合には、安全性確保のために、ある程度外の音が聞こえたほうがよい。
新製品では、このチューニングを、「プロ・ミュージシャン」「スタンダード」「スポーツ」の3種類から選択できる。「プロ・ミュージシャン」は密閉度が高く遮音性に優れたタイプ、「スポーツ」は屋外でもまわりの音が聞こえるように密閉度を下げたタイプ、「スタンダード」は遮音性と快適性を両立したタイプだ。
チューニングは、耳型に対するオフセット量と外耳道の長さ調節により行われる。耳型を3Dスキャンしたデータよりもオフセット量を大きくすると、密着度が高くなって遮音性が上がり、逆にオフセット量を小さくすると快適性が上がる。
音質面では、オンキヨーのイヤホン技術を結集
3製品は、いずれもBA(バランスド・アーマチュア)ドライバーを使用したカスタムIEMで、IEC1はシングル、IE-C2はデュアル、IE-C3はトリプルドライバーモデルだ。
ドライバーにはフローティング構造を採用。ドライバーとシェルの間にクッションと弾力性のある接着剤を充填することで、ドライバーの余分な振動がシェルに伝わらないよう抑制している。
IE-C1は、インピーダンスが70Ωで、出力音圧レベルが107dB/mW。IE-C2はインピーダンスが75Ωで、出力音圧レベルが115dB。IE-C3はインピーダンスが12Ωで、出力音圧レベルが113dB/mWだ。ケーブルは着脱式で、長さは1.2m。イヤホン側のコネクタはMMCXタイプとなっている。
なお、サイズはシングルドライバーのIE-C1が薄めで、IE-C2とIE-C3が、やや厚め。IE-C2とIE-C3にはほとんど差がない。
音楽活動中の学生に向けたプロダクトでもある
オンキヨーは今回の新製品を、音楽演奏を行っている若年層(高校生・大学生)の耳を保護する上で役立てたいとしており、学生向けの特別価格を設定する考えを示した。詳細については後日発表される予定だ。
また、6月18日~7月14日の期間、正式先行発売キャンペーンが行われる。キャンペーンは、期間中に「Gibson Brands Showroom TOKYO」と「シーメンス補聴器コンセプトストア銀座店」で製品を予約すると、IE-C1は49,800円、IE-C2は59,800円、IE-C3は99,800円で購入できる(いずれも税別)。
発表会の終盤には、ミュージシャンでボクサーのクレイ勇輝氏がゲストとして登場。製品のイメージキャラクターを務めるクレイ氏のもとに、実際に耳型を採取して作ったIEMが届けられた。IEMを装着した感想を求められると、「(密閉感が高く)周囲の音が聞こえなくなる。快適で、無理をしている感じがない」とコメント。世界に一つだけの自分専用イヤホンを手に、喜びをにじませていた。