以前、マイナビニュース女性会員に「独身女性が結婚相手に求める条件」を聞いたところ、「専業主婦になりたいから年収600万円以上」「最低限の生活に1,000万円必要」など、具体的な年収の条件を挙げる人もいました。また、「結婚相手に望む年収」の調査でも、1番多かったのは年収500万円~600万円の声でした。
収入は多いに越したことはありませんが、実際の結婚生活ではどれくらいのお金が必要になるのでしょうか。年代別に考えてみましょう。
20代夫婦の年間支出は300万円
2014年の総務省「家計調査」によると、2人以上の勤労者世帯における1カ月の消費支出は平均して31万8,755円でした。年間にすると380万円ほどです。ですが、これは全ての年代・地域の平均値なので、結婚したばかりの夫婦や子どもがいる家庭など、属性別にみた結果はまた変わってきます。
では、年齢別に見てみると、20代の2人以上世帯の消費支出の平均は24万7,200円、30代が27万2,900円、40代が32万8,100円、50代が35万4,100円と、年代が上がるにつれ支出が増えていく様が分かります。家族の構成員が増えていくこと、収入が上がり暮らしが豊かになっていくことで支出は増えていきます。これをみると、結婚したばかりのカップルなら、生活にさほど大きな支出は必要ないことが分かります。
特に20代においては、初産の平均年齢が30歳を超えている今、20代の2人以上世帯は夫婦2人が多数と考えられます。20代の平均支出が24万7,200円なので、年間にするとちょうど300万円程です。つまり、300万円あれば夫婦2人で平均的な暮らしができると考えられます。こうしてみてみると、結婚生活へ描いているハードルが少し下がるのではないでしょうか。
もちろん、貯蓄をしていくにはプラスαの収入が必要になります。ですが、例えば夫の手取り収入が年300万円だとしても、妻が年100万円稼げれば、平均的な生活をしながら100万円はまるまる貯蓄に回せるということになります。
40代夫婦でも年間支出は400万円弱
では、30代はどうでしょうか。30代といえば出産をして子どもが増え、家族の増加につれて支出も増えてくるころですが、1カ月における20代の平均支出(24万7,200円)と30代の平均支出(27万2,900円)の違いは3万円未満です。子どもが小さいうちは食費や教育費もそう大きく跳ね上がらないので、その程度の差でやりくりができると推察できます。
そして、子どもの教育費用などで家計の負担が大きくなる40代では、1カ月の平均支出が32万8,100円となります。40代を迎えるまでにコツコツ貯蓄をしておくこと、また、夫婦2人で手取り収入を上げる努力をすることなどが必要になるでしょう。それでも、年間の支出は400万円弱です。
もちろん、これらの支出以外にも、自分たちの老後や子どもたちの将来への備えは必要になりますが、結婚相手の条件として、結婚当初は「手取り年収300万円程度」あれば生活には問題ないように思われます。そしてその後、収入が順調に上がっていく見込みがあること、収入アップに向けた努力をしていることなどを結婚相手選びの基準にすることが現実的と言えます。
実際、20代後半で年収500万円以上稼いでいる男性は全体の5%未満です。その5%を狙うあまり、一生を共に過ごす相手としてあなたが大切にしたいことを見逃さないこともまた、大事な視点ではないでしょうか。
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筆者プロフィール: 武田明日香(たけだ あすか)
エフピーウーマン所属ファイナンシャルプランナー。南山大学経済学部卒業後、大手印刷会社に入社。2010年に、法人営業の仕事をしながら自己啓発のためにファイナンシャルプランナーの資格を取得。「女性がライフステージで選択を迫られた時に、諦めではなく自ら選択できるための支援がしたい」という想いから、2013年にファイナンシャルプランナーに転身。日本テレビ「ZIP!」やTBSテレビ「あなたの損を取り戻せ 差がつく! トラベル!」「Saita」「andGIRL」等の雑誌、「webR25」「わたしのマネー術」等のウェブサイトなど幅広いメディアを通じ、お金とキャリアの両面から女性が豊かな人生を送るための知識を伝えている。お金の知識が身につく初心者向けマネーセミナー受付中(受講料無料)。