JR北海道は、今年1月に発生した土砂流出の影響で路線の大半が不通となっている日高本線について、今月中にも災害対策工事に向けた実施設計に着手すると発表した。

不通となる前の日高本線様似駅

日高本線では、今年1月8日に厚賀~大狩部間で約13mにわたって線路脇の盛土流出が発生。同じ箇所で過去3度にわたって同様の土砂流出が発生していることから、JR北海道は線路脇の護岸対策と落石や土砂崩れを防ぐ斜面対策の両面で抜本的な対策が必要との考えを示していた。

今回の発表によれば、厚賀~大狩部間の護岸壁の壁面や基礎部分、護岸の陸側に生じた空洞についての現地調査は5月18日までに完了。斜面対策として、厚賀駅から大狩部駅方向に1.7km付近と5km付近の2カ所で落石防止の擁壁や防護網の設置工事を行うことを決めた。土砂流出箇所付近で実施する災害対策工事に向けた準備工事も6月6日までに完了。工事用通路を整備したほか、土砂の流出を防ぐ鉄製の仮設壁「鋼矢板」の打ち込みを行ったという。

今後は災害対策工事にかかわる各種工事の詳細設計と施工計画の策定に着手。9月下旬までには実施設計を終わらせる計画だ。その一方で、JR北海道は最低26億円とされる復旧費用の全額負担に難色を示し、本工事着工のめどは立っていないとされている。