保険で保障も貯蓄もというのは、過去に予定利率が高かったときに活用されていた方法ですが、予定利率が低い今は、保険は掛け捨てが常識になっています。
ただ、そんな状況の中でも、目的を絞って加入するなら、保険で貯蓄もありというのが今回の話。具体的にはお金の必要な時期や額がある程度決まっている子どもの教育費作りは、保険を活用する方法が当てはまるケース。家計に上手に取り入れて、将来あわてないよう万全な教育資金を作りましょう。
教育資金はいつからいくらぐらい貯めるの?
子ども一人当たりの教育費が1000万円以上かかるというのはいまや常識。でも、教育費は20年以上の長期にわたって少しずつ支出するものなので、計画的に資金準備をしていけば、それほど大変なことではありません。
とはいえ、あるデータによると高校入学から大学卒業までにかかる入学費用、在学中の費用、仕送り額等の費用は高校で344.6万円、大学で711.2万円、平均1055.8万円(平成25年 教育費負担の実態調査<勤務者世帯> 国民生活金融公庫調べ)。比較的金額が低めの国立文系でも500万円以上かかるといわれており、教育費総額の半分あるいはそれ以上の額が大学4年間で必要になると考えておくべきです。
もちろん小中学校から私立に進学する場合はもっと早い時期から教育費の負担は大きくなるため、異なったプランを立てる必要がありますが、基本的には高校までの教育費は、家計の中から支出しつつ大学進学のための費用を高校卒業までに準備するというのが理想的です。
プランの立て方のコツはある?
具体的には、子どもが生まれたらすぐに教育費作りをスタートするのが最もいい方法。なぜなら教育費の支出は時期を待ってくれないから。生まれてすぐなら高校卒業まで約18年と貯蓄期間がたっぷりとれます。また、子どもが小さいうちのほうが家計に余裕があるので、ゆとりのあるうちに貯めておくほうが後々楽になるからです。
そうはいっても18年も先のためにお金を貯めるのはなかなか大変なもの。その間には旅行に行ったり、車を買ったり、マイホームを購入したりといった大きな支出もあるはずです。せっかく教育費としてお金を貯めていても、そうした目先の支出のためについ使ってしまいがち。それを防いでくれるのが、学資保険です。
どんな商品で貯めるのがいいの?
学資保険は子どもの学費が必要な時期に合わせて保険金が受け取れる商品。18歳満期と22歳満期が一般的ですが、大学の教育資金作りとして加入するなら、18歳満期を選ぶのが正解です。学資保険の大きなメリットは、一度加入してしまえば、強制的に教育費が作れる点です。保険料は加入時の子どもと契約者(一般的には親)の年齢によって違います。子どもの年齢、親の年齢ともに若いうちに加入するほうが保険料は安くなります。
また加入者である親に万一のことがあった場合には、以後の保険料負担が免除されるなど、保険ならではのメリットも。学資保険の中には、契約者である親が死亡した場合には、育英年金が支払われるタイプのものもありますが、そうした保障をつけるとその分保険料が割高になってしまいます。教育資金を貯める目的なら、余計な保障はつけず、シンプルな契約にするのが上手に加入するコツです。
(※写真画像は本文とは関係ありません)
<著者プロフィール>
ファイナンシャルプランナー 堀内玲子
証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て1993年に独立。1996年ファイナンシャルプランナー資格を取得。FPとして金融・マネー記事などの執筆活動を中心に、セミナー講師、家計相談などを行う。著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)など。