米Appleは6月8日(現地時間)、米サンフランシスコで開催している同社の開発者カンファレンスWWDC 2015で、OS Xの次期メジャーアップデート「OS X El Capitan」(OS X v10.11)を発表した。「体験」と「パフォーマンス」の向上に重点を置いたアップデートになっており、ヨセミテ渓谷にそそり立つ巨岩El Capitanのように、OS X Yosemiteで成熟したMacのユーザー体験を新たな高みへと引き上げる。

El Capitanではシステムから標準アプリケーションまで、様々な改良と新機能の積み重ねで体験の改善を実現している。まずシステムフォントがSan Franciscoに変更された。読み取りやすさが評価されているフォントであり、特にRetinaディスプレイで文字を判別しやすい。日本語に関しては「クレー」「筑紫A丸ゴシック」「筑紫B丸ゴシック」「游明朝体+36ポかな」の4つのフォントが加わった。また、言語エンジンの改良と語彙の増加によって、より速やかな入力・変換が可能になる。

アプリケーションのフルスクリーン表示で、2つの画面を並べられる(Split View)。たとえば、メールとSafariを並べて、Webページの情報を調べながらメールを書くというような使い方が可能。Mission Controlもデザインが見直された。スワイプしてMission Controlを開くと、デスクトップ上の全てのウインドウが重なることなく並ぶ。ウインドウを整理したい時には、移動させたいウインドウを画面上部にドラッグ&ドロップするだけで、新しいデスクトップスペースに移せる。

フルスクリーンで2つのウインドウを並べるSplit View

視認性と操作性が向上したMission Control

  • Safari:Webサイトをタブバーにピン留めできる(Pinned Sites)。オーディオ再生しているWebサイトを簡単に見つけられ、タブを開かなくてもスマート検索フィールドの中から消音できる。
  • メール:メール作成中に受信ボックスにアクセスできるなど、フルスクリーン表示時のユーザーインターフェイスを改善。左右のスワイプによるメールの開封や削除が可能。名前やイベントを自動認識し、カレンダーや連絡先への追加を提案する(Smart Suggestions)。

よく見るWebサイトをピン留めしておくと、いつでも簡単にアクセスできる

スワイプでメッセージをすばやく削除

  • メモ:チェックリストの作成をサポート。写真、ビデオ、URL、地図の位置情報などを簡単に加えられるようになった。写真やビデオなど添付ファイルは、添付ファイルブラウザで一覧できる。
  • マップ:バスや地下鉄、フェリーなど交通機関の情報をサポート、徒歩などを組み合わせたルート検索が可能になる。
  • Spotlight:「昨日作った予算に関するプレゼンテーション」というような自然な言語による検索が可能。情報を取得するソースが増加し、より充実した結果を得られる。

パフォーマンスを引き上げる改善の積み重ねによってEl Capitanは、アプリケーションの起動が最大1.4倍、アプリケーションの切り替えが最大2倍、プレビューでのPDF表示が最大4倍も高速になる(開発段階のEl CapitanとOS X Yosemite 10.10.3の比較)。

また、昨年のWWDCでiOS向けに発表したローレベルグラフィックスAPI「Metal」がOS Xにも組み込まれる。Core AnimationとCore Graphicsのアクセラレーションによって、システムレベルのレンダリング性能が最大50%、効率性が最大40%向上。ドローコール性能が最大10倍に引き上げられ、対応するゲームやプロフェッショナル向けアプリケーションがよりスムースに、そしてリッチに動作するようになる。

OS X El Capitanは8日に開発者向けプレビューの提供が始まった。7月には一般ユーザーが参加できるEl Capitan Beta Programが行われ、今年秋に正式版が登場する。