日本医科大学 衛生学・公衆衛生学の可知悠子助教らはこのほど、「親の経済格差が子どもの肥満に及ぼす影響」の調査結果を明らかにした。同研究結果は2015年5月23日に「Journal of Epidemiology」オンライン版で発表している。
欧米では親の経済状況が悪いほど、その子どもが肥満になるリスクが高くなることが多数報告されている。現在、日本では同様の報告がなかったことから、全国の子どもを対象に親の経済状況によって肥満の割合が異なるかどうかを分析した。
対象者は、厚生労働省が全国規模で無作為抽出により実施している「国民生活基礎調査」と「国民健康・栄養調査」に参加した学童期(6~11歳)と青年期(12~18歳)の各397名の子ども。月間の家計支出額の平均値を「低(学童期15.0万円、青年期16.5万円)」「中(学童期24.2万円、青年期27.6万円)」「高(学童期39.0万円、高45.2万円)」の3群に分けて分析した。
その結果、学童期の49名(12.3%)、青年期の36名(9.1%)が肥満の基準(※)に当てはまることがわかった。また、青年期では、月間平均家計支出額が「低(16.5万)」の場合、「高(45.2万)」と比較して、肥満の割合が3.4倍高いことが明らかとなった。
しかし学童期では、家計支出が「低(15.0万)」と、「高(39.0万)」との間に、肥満の割合に有意な差はみられなかったという。
※世界的に用いられている International Obesity Task Force の基準による