清らかな水辺に生息するホタル。生息地が減ってきている東京では、ホタルを一度も見たことがない人も多いのではないだろうか。しかし、東京都内やその周辺にはホタルを見られるスポットが思いのほかあるのだ。今回はその中でも特にオススメのスポットを紹介しよう。
渋谷でホタル!?
東京の、しかも"超"が付く繁華街である渋谷にも、夏になるとホタルが現れる場所がある。「渋谷区ふれあい植物センター」だ。ここでは毎年夏前に、「ホタルの夕べ2015」と称したホタルの鑑賞イベントが行われる。2015年の開催期間は6月19日~23日の5日間。鑑賞にはセンターへの入館料100円が必要となる。アクセスはJR渋谷駅より徒歩12分。
また、会場となる渋谷区ふれあい植物センターには、熱帯の植物が生い茂り小川の流れるグリーンガーデンや香り豊かなハーブガーデンなどが常設されている。ホタルの光とともに、都会の中のくつろぎを見つけられるだろう。
野外に舞う淡い光を祭りとともに
昭和30年代には野生のホタルが豊富に舞っていたという東京都福生市には「ほたる公園」というものがある。減少してきたホタルの保護のために造られた公園だ。この周辺で行われるのが「福生ほたる祭り」(6月20日実施)である。
会場はほたる公園と玉川上水青梅橋付近で、毎年約500匹のホタルが華麗に舞う。また、特設ステージではエイサー太鼓やよさこいソーランなども披露される。少し早い夏祭りを楽しめるだろう。公園まではJR青梅線牛浜駅より徒歩10分、または、JR五日市線熊川駅より徒歩7分となる。
福生といえば、米軍の横田基地があることで有名な街。基地の周辺の通りには英語の看板が並び、外国人も多く見かける。それぞれのお店は日本であることを忘れそうな雰囲気で、リトル・アメリカとでも呼べそうな町並みだ。基地は夜になると滑走路に青い光がともる。蛍とはまた違った、夜空のような風景を楽しめるだろう。
いにしえの神社でホタルを眺める
今度はお隣の神奈川県。源頼朝によって建てられた鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)では、毎年6月の初旬に「ほたるまつり」が開かれる。豊かな四季と生命の尊さ、そして神々への感謝を表す祭りで、鶴岡八幡宮境内の柳原神池では日没から20時30分頃までホタルを鑑賞できる。2015年の開催は6月14日~21日となっている。
ちなみに、ほたるまつりの前日には「蛍放生祭(ほたるほうじょうさい)」と呼ばれる神事が行われる。残念ながら一般の人は参列できないが、笙(しょう)の音に合わせた巫女(みこ)による舞などが奉納され、放されたホタルが池にともす光は神秘的だ。場所はJR横須賀線鎌倉駅から徒歩15分。古都・鎌倉の初夏にふさわしい幻想的な時間を楽しみたい。
一年中、いつでもほのかな光に癒やされる
通常であれば夏の短い期間しか出会うことのできないホタルの光。それを一年中見られるのが東武動物公園内(埼玉県南埼玉郡・白岡市)にある「ほたリウム」だ。ここは世界で初めて「劇場型ホタル鑑賞空間」として造られた施設とのこと。ほたリウムの中には、なんと約1万匹ものホタルが生息しているという。
一度に入場できる人数は18人までで、時間によって入れ替えとなる。時間制限はあるものの、人の流れに押されることなく、静かな光を堪能できるだろう。ただし、通常夜に行うホタル鑑賞とは違い、営業時間は11時~16時なのでご注意を。
場所は東武伊勢崎線「東武動物公園駅」より徒歩10分。東武動物公園の入園料1,700円に別途、ほたリウムの入館料400円が必要となる。東武動物公園では夏場にはプールや花火も楽しめる。夏らしい休日を過ごすことができるだろう。
ホタルは、成虫になってからおよそ10日間の命だという。桜にも似た儚さだ。その短い時間に、ホタルは精いっぱい光をともす。ふわりと舞う輝きはその夏だけのもの。その光に癒やされに出掛けてみてはいかがだろうか。
※写真はイメージで本文とは関係ありません
筆者プロフィール: 木口 マリ
執筆、編集、翻訳も手がけるフォトグラファー。旅に出る度になぜかいろいろな国の友人が増え、街を歩けばお年寄りが寄ってくる体質を持つ。現在は旅・街・いきものを中心として活動。自身のがん治療体験を時にマジメに、時にユーモラスに綴ったブログ「ハッピーな療養生活のススメ」も絶賛公開中。