ここ数年、ママたちの間で「日光浴をすべきか、すべきでないか」というテーマが話題となっている。その発端は、骨が変形し、重度の場合は歩行困難などの症状が出る「くる病」が、乳幼児の間で増えているというニュースだ。
くる病は、戦後の栄養価が低下した時期などに多くみられた症状。その後は数が減少していたが、再び増えているというのだ。くる病には「ビタミンD」という栄養素が関係している。ビタミンDは骨の成長に欠かせない栄養素で、不足するとカルシウムの沈着が悪くなり、骨が柔らかく変形しやすくなると言われている。
ビタミンD不足は、日光浴不足が原因?
子どもたちのくる病増加に伴って、ビタミンDにも注目が集まった。このビタミンDは、魚や卵などのたんぱく質や、干しシイタケなどの日光を当てた干物にも多く含まれている。こういった食品の摂取を促すと共に話題になったのが、「日光浴の重要性」だ。
食物などから摂取されたビタミンDは、そのままではビタミンDとしての機能を持たない。直射日光に当たることによって、皮膚で「活性型ビタミンD」に変換され、これが血液中を循環することで初めて機能するのだ。
紫外線量が強くなっていることなどから、ここ10年ほどは「紫外線を浴びないほうがいい」「子供にもきちんと紫外線予防をさせ、日光浴の必要はない」という意見が多くなっていた。だが、この「ビタミンD問題」によって、「日光浴をさせるべきなのでは? 」という意見も多くなり、ママたちの間では「日光浴させるべき? させないべき? 」と悩む声が増えている。
子どもに起こる「くる病」に由来するビタミンD不足を問題視しがちだが、ビタミンD不足は子どもだけの問題ではない。厚生労働省の「平成21年度国民健康・栄養調査報告」によると、大人も慢性的にビタミンD不足に陥っているという現状がある。
特に女性の場合は、閉経後に骨がもろくなる骨粗しょう症のリスクが高まる。ビタミンD不足状態をずっと続けていると、将来、骨折などを起こして寝たきりになってしまう可能性も否定できない。
日光は長時間浴びるべきではない
ビタミンDを体内で増やすため、日光浴をすべきか否かの結論としては、「長時間浴びる必要はない」が当てはまると言える。あえて日光浴の時間を作らずとも、外で活動する時間で十分浴びているという意見もある。時間にして、トータルで10分程度。それ以上の日光浴は、逆に皮膚がんなど別のリスクを高めてしまう可能性もあるからだ。
では、不足しがちなビタミンDはどう取り入れるべきなのか。以下の4つの対策を参考にしてほしい。
対策1 魚や卵を意識して食べよう
不足しがちなビタミンDは、食事で摂(と)るのが理想的。魚や卵に多く含まれているので、そういった食材をきちんと摂取するようにしよう。
対策2 ダイエット志向を強く持ちすぎない
ビタミンD不足の背景の一つに、ママ世代の無理なダイエットがあると言われている。特に「妊娠中に体重を必要以上に増やしたくない」と、ダイエットしてしまう人にビタミンD不足が多い傾向がある。結果としてママ自身の骨を弱くするだけでなく、子どもの骨も弱くすることになるので、無理なダイエットは避けるように。きちんと栄養を摂(と)ることが大事なのだ。
対策3 野菜中心の食事になりすぎない
健康志向が強い人ほど、肉よりも野菜中心という食事を選びがちだが、野菜だけだとビタミンDは不足気味になってしまう。肉や魚をあまり食べないという人は、卵を加えるなどして食生活を一度見直してみるといいだろう。どうしても不足しがちな人は、サプリメントで補うという選択もありだ。
対策4 外出時はしっかり紫外線をプロテクトする
「日光浴が大事」と、外出時に素肌のまま出るのは肌にダメージを与える原因になる。日焼け止めなど、紫外線から守るケアは忘れずに。