5月30日にリニューアルした「IDC大塚家具 銀座本店」

IDC大塚家具が6月21日まで全国のショールーム15店舗で眠りの改善プロジェクト「グッドスリープフェア」を開催中だ。同社では、在籍する眠りのプロフェッショナル「スリープアドバイザー」が、眠りに関するさまざまな悩みの相談に応じるサービスを提供している。

3月末の取締役会で、前会長の大塚勝久氏との「お家騒動」の末、代表取締役社長に大塚久美子氏が再任され、"新生・大塚家具"として再スタートを切った同社。秋口までに全国のショールームのリニューアルを図る計画を表明しているが、5月30日にまず東京・銀座本店のリニューアルを行った。

より入りやすく居心地のよい空間を目指して改装された、1階エントランスフロア

中でも全面的な改装が行われたのは、9階の寝具フロア。リニューアルのテーマを「眠り」とし、ベッドなどの寝具だけでなく、インテリアや他の快眠グッズとともにコーディネートした4つのコンセプトブースの設置や、快適な睡眠環境をつくるためのノウハウをわかりやすく解説した「Good Sleep Labo」の設置がリニューアルのポイントだ。

「眠り」をテーマに全面改装された、9階の寝具フロア。「スリープアドバイザー」が常駐し、眠りの環境づくりのためのさまざまなアドバイスを行ってくれる。

働く女性向けに寝具やインテリアをコーディネートしたコンセプトブース「ヘルス&ビューティー」

日常的に運動をする人向けの寝室をイメージしたコンセプトブース「アクティブライフ」

「サマーシーズン」は、涼感インテリアを多数取り入れ、寝苦しさの解消をコンセプトにコーディネートした

「くつろぎ時間」をコンセプトにした「クォリティライフ」

スリープアドバイザーによると、質の高い眠りで大切なのは、眠りの「リズム」とのこと。睡眠には「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」があり、それぞれ約90分のサイクルで交互に繰り返している。しかし眠っている間は、温度や湿度などの要因で睡眠が妨げられる。それゆえ、これを改善するために必要なのがまずは個々人に合わせた寝具選びということだ。

スリープアドバイザーの話では、寝ているときの理想的な姿勢は、立っているときと同じ姿。目安となるのは、背骨を中心に頸椎(けいつい)と腰椎にかけてなだらかなS字ラインとなる姿勢で、あおむけに寝た際に、マットレスの適切なサポート力により、この姿勢を保つことができるよう、身体にフィットしたものを選ぶことがポイントとことだ。

ただし、マットレスの反発性や弾力性は個々人の体重や体形、筋肉の硬さなどによっても異なるので、一概に柔らかければいいとか硬ければいいとは言えないという。そこで、「実際に店舗で体験をして、自分に合ったマットレスを選んでほしい」とアドバイスしてくれた。

快適な眠りのためのポイントをパネルでわかりやすく解説し、各種マットレスを体験できる「Good Sleep Labo」

一方、意外だったのがまくらの選び方だ。マットレス同様に多数の種類があり、オーダーまくらなども存在するが、アドバイザーによると、マットレスとの相性が非常に重要と説明する。まくらを使いあおむきに寝た際に、横から見て額からあごにかけての角度が約5度沈むのがベストな寝姿勢だそうだ。

ただ、体形や体重によりマットレスの沈み込み具合が異なると、相性のいいまくらも変わってくる。そのため、ベストな寝心地を追求するためには、まくらとマットレスをセットで選ぶ必要があるという。

また、快眠のためにはベッドフレーム選びもポイントだ。通常、ベッドフレームはデザインや機能性で選ばれることが多いが、ワンランク上の寝心地を目指すのであれば、ボトムクッション選びも不可欠だ。

ボトムクッションとは、ベッドフレームでマットレスを支える台座にあたる部分。一般的な仕様としては、スノコや床板が挙げられる。これに対し、ホテルのベッドなどで使用されている仕様は、「ダブルクッション」と呼ばれるタイプ。マットレスの下の部分も脚付きのマットレスで支えることから、マットレス自体の耐圧分散性がアップし、身体への負担を軽減してくれる利点があるとのことだ。

さまざまな種類のまくらを実際に試して、自分に合ったものを選べる

豊富な寝具のそれぞれの感触や、通気性なども実際に手にしてその違いを体感できる

快眠にはハード的な部分も必要な一方で、室内・床内環境も重要である。アドバイザーの話では、快眠に最適なのは温度33℃、湿度約50%の状態とのこと。従って、寝具や寝装品はこれらの条件を満たすことを目安に選ぶとよいそうだ。

また、快眠のためには寝室の明るさなど視覚的な条件も重要とのこと。まずは明るさだが、睡眠ホルモンである「メラトニン」は煌々(こうこう)とした光の中では分泌が抑制されてしまうため、夜に強い光を浴びるのは厳禁。寝る前は間接照明やほの暗い明るさの照明を利用して、速やかな入眠に備えることが大切だという。

もちろん、画面から強い光が発せられているテレビやスマートフォンの寝る前の使用もご法度。さらに、寝る前の深酒は、寝入りはよくても睡眠の質事態を悪化させてしまうので要注意とのことだ。その他、寝具のカラーや香り、音楽なども快眠には欠かせない要素となる。

寝室のファブリックも快眠のための重要なファクター。趣味・嗜好を伝えると、スリープアドバイザーが季節を考慮した最適な組み合わせを提案してくれる

睡眠計や保湿機、布団クリーナー、アロマディフューザーなど快眠グッズを紹介する展示も

275万5,080円(税込)のキングスダウン社の世界最高級マットレスの展示も

IDC大塚家具には、このような睡眠に関する総合的な相談に乗ってくれるスリープアドバイザーが807人在籍。「グッドスリープフェア」の期間中は、有明・新宿・横浜みなとみらい・名古屋栄・大阪南港・福岡・仙台の各ショールームでは、毎週土曜日の13時から「眠りのセミナー」も開催される(予約制)。

リニューアルした銀座本店のショールームの報道関係者向け内覧会が開催された5月30日には、大塚家具代表取締役社長の大塚久美子氏が出席。大塚社長は、「眠りについての悩みは、人それぞれに違います。寝具というのは見た目では違いがわかりにくく、選びにくいアイテム。また、すべての人に合った寝具というのはなく、体形や年齢などに応じてそれぞれにフィットする寝具があります」と、眠りに適した寝具選びの難しさを指摘。

そのうえで、「各社の寝具の特性を比較検討したデータをもとに、最適な眠りの環境のためのコンサルティングをスリープアドバイザーが一人ひとりに合わせて行っていきたい」と決意表明した。

リニューアルされた銀座本店をお披露目し、「お客様がよい眠りに出会えるよう、照明やファブリック、アクセサリーなど完成度の高いトータルインテリアを提案していきたい」と語った大塚久美子社長