病気やけがで入院したときに頼りになる医療保険。必要性は感じながらも、どう選んだらいいのかわからないという人も多いでしょう。どんなタイプがあって、どんな保障の付いた保険に入ればいいのか、医療保険の種類と選び方のポイントをご紹介します。

どんな種類の医療保険を選べばいい?

医療保険は、けがや病気で入院したときに1日1万円など入院に数に応じた給付金がもらえる仕組み。それに加え手術をしたときに手術の内容に応じた手術給付金が受け取れるという保障がセットになっているのが基本です。

保険期間は10年など一定期間ごとに更新するタイプの定期保険と一生涯保障される終身タイプがあります。終身タイプは保険料を一生払い続けるタイプのほかに、60歳など一定年齢以上になると保険料の負担が軽くなったり、保険料の払い込みを一定年齢までに終わらせてしまうものもあります。

医療保険は一生涯にわたって保障があったほうが安心ですので、できれば終身型を選ぶのが理想的です。ただし、医療を取り巻く状況は大きく変化をしています。終身タイプに加入したからといって、数十年後にその保険で万全とはいいきれません。ですから一度加入したら後は安心と思わず、状況の変化に応じて見直すと覚えておきましょう。

入院給付金は日帰り入院から受け取れるもの、1泊2日から受け取れるものなど給付の条件が異なります。また、1回の入院で受け取れる日数の上限も設けられているので、比較検討するときには、単純に保険料だけを比べるのではなく、給付条件もしっかりチェックしましょう。

日額、給付限度はどう設定する?

病気やけがで入院が必要となり多額の医療費がかかったとしても、高額療養費制度があるので、健康保険の適用範囲内なら自己負担額は1カ月に数十万円もかかることはありません。長期的に仕事を休まなくてはならない場合でも傷病手当金があるので、まったく収入がなくなってしまう心配もありません。とはいえ、差額ベッド代や健康保険の対象とならない支出もあるので、日額5000円程度の入院給付金があるとひとまず安心です。自営業など国民健康保険加入者は、傷病手当金などがもらえないので、もう少し手厚く日額1万円程度あったほうが安心です。

医療技術の進歩などにより以前に比べて平均的な入院日数は減少傾向で、保障される入院日数も30日や60日など短期のものが保険料も比較的安く人気があります。ただ、本当に保険でカバーしたいのは、むしろ長期の入院。可能性は低いにせよ、大病を患いやむなく何カ月も入院することになったときに、1、2カ月で保険が打ち切りになっては、万全とはいえません。

もちろん健康保険の高額療養費制度などである程度の医療費はカバーできますが、長期にわたって入院すれば、自己負担額もだんだんかさんできます。そう考えると、より重視したいのは、長期入院時の保障ということになります。

給付限度日数が長い保険は保険料が割高になりがちですが、特定の疾病に限って給付限度日数を長く設定していたり、無制限となっている保険などもあるので、保険料負担とバランスを見ながら選ぶといいでしょう。

先進医療やガン保障などは必要?

ガンはいまや早期に治療すれば治る確率の高い病気になりつつありますが、治療は長期にわたるケースがまだまだ多いので、通常の病気より手厚い保障があったほうが安心です。また最近では通院でがんの治療を続けるケースも増えているので、入院だけでなく通院時の保障も付いているものや、がんと診断されたときにまとまった保険金が受け取れる保険のほうがより安心でしょう。

また医療技術の進歩により治療の選択肢も以前に比べて増えてきており、先進医療を受ける機会も増加しています。先進医療の技術費は健康保険の対象とはならないので、治療を受けようと思うと多額の費用がかかります。そうした費用の実費を保障する特約の付いた医療保険が増えているので、これから加入するならそうした保障が付いた保険を選ぶといいでしょう。

すでに加入している保険でも先進医療特約を新たに付加することができるケースもあるので、付いていない保険に加入している人は一度確認してみるといいでしょう。

<著者プロフィール>

ファイナンシャルプランナー 堀内玲子

証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て1993年に独立。1996年ファイナンシャルプランナー資格を取得。FPとして金融・マネー記事などの執筆活動を中心に、セミナー講師、家計相談などを行う。著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)など。