「今年は例年以上に暑い日が続くな」と感じる人も多いのではないだろうか。5月26日に東京都心で今年初めて真夏日を記録したほか、5月にも関わらず全国各地で連日30度を超えるなど、異常とも呼べる暑さが続いた。6月に入りやや暑さが一段落した感もあるが、暑い夏が近づいてくると気をつけたいのが熱中症だ。
熱中症と聞くと、「炎天下の屋外でかかるもの」と考えている人もいるかもしれないが、実は屋内でも熱中症になるケースが多いのだ。その中でも、今回は睡眠時における熱中症について触れていこう。
屋内における熱中症は、「部屋の中だから大丈夫」という認識のもと、特別な暑さ対策をしていないことに起因するケースが多いとされている。炎天下に置かれている車を思い浮かべるとわかりやすいが、屋内は状況によっては、熱がこもって屋外よりも気温が高くなるケースがある。
近年は住宅における高齢者の熱中症が増えており、国立環境研究所によると高齢者は住宅での発生が半数を超えているという。そして熱中症の脅威は、私たちが活動してない睡眠時にも迫ってくるのだ。その理由は寝汗による脱水にある。
熱中症に詳しい横浜国立大学教育人間科学部の田中英登教授によると、仮に6~7時間の睡眠を取るとなれば、その間水分を一切摂取していないということになるので、寝ている間は脱水状態につながりやすいという。また、湿度が高い状況も脱水につながりやすいので、注意が必要とされている。
そこで大切となるのが予防策だ。睡眠前に気をつけたいポイントを3点まとめたので、参考にしてほしい。
エアコンや扇風機をうまく活用する
暑い夏場は、冷房をうまく利用して質の良い眠りを確保することが大切だ。環境省も「我慢せずに冷房を入れる」ことが重要と、熱中症マニュアルで注意喚起をしている。エアコンのタイマー設定を活用してもいいし、冷気を部屋全体に行きわたらせるため、扇風機を組み合わせるという選択肢もある。また、場合によっては設定温度が高めの状態でもいいので、エアコンをつけっぱなしにして寝るのもいいだろう。
就寝前にコップ1杯分の水を飲む
睡眠中の脱水状態を防ぐため、就寝前に冷たい水をコップ1杯分飲むとよい。夜中にふと目が覚めたときや起床時にもサッと水分補給できるよう、枕元近辺に水筒などに入れた冷たい水を置いておくのもいいだろう。ただ、水分補給としてビールを飲むのは危険だ。アルコールは脱水を促し、利尿作用もあるため体から水分を奪っていく。就寝時間が迫ってきたら、アルコールは控えるように。
ゆったりした衣服を着用する
気温や湿度が高いため、汗がうまく蒸発できずに体内に熱がこもることが熱中症の引き金となる。そのため、衣服をうまく活用して体から出る熱と汗を上手に逃がしてやることが肝要だ。吸汗・速乾に優れた素材や、ゆったりして通気性がよい衣類を着用して寝るようにしよう。
写真と本文は関係ありません