三菱重工業は6月1日、同社松阪工場(三重県松阪市)での航空機生産事業展開に関して、松阪市と工場立地協定を締結したことを発表した。併せて、松阪市と松阪工場内での事業展開を計画している航空機部品生産協同組合との工場立地協定も締結された。
今回の締結により、松阪工場を拠点に民間航空機向け小物部品の一貫生産・供給を担う産業クラスターの展開と、次世代リージョナルジェット機MRJ(Mitsubishi Regional Jet)の尾翼量産に向けた枠組みが整うこととなる。
同日、三重県津市で開催された協定締結式には、経済産業省および国土交通省をはじめ本プロジェクトに関係の深い政府や地元自治体、産業界などから来賓が多数列席した。協定を踏まえ、同社は同組合の松阪工場内建屋の利用に協力する。
また、民間航空機の小物部品について切削やプレスなどの加工から表面処理・塗装まで全プロセスにわたって手掛けられるよう、高効率かつコスト競争力のある部品生産の仕組み構築や、生産立ち上げ時に必要となる各種認証の取得などについて全面的に支援していくという。
同組合では、ボーイング社の旅客機やMRJなどの民間航空機部品向け中小物部品の効率的かつフレキシブルな一貫生産体制を整備した「スマート・クラスター」の実現を目指している。そのため、自動車産業の効率的な部品作りの手法なども取り入れ、グローバル市場で勝ち残れる競争力を醸成することにより、自立化・高度化した部品製造の基盤づくりに取り組んでいき、今後は参画各社で準備を進め、本格稼働は2016年後半を計画している。
三菱重工業は、松阪工場をMRJ量産拠点のひとつとして位置づけており、水平・垂直尾翼の量産組み立てを行う。操業開始は2016年度を予定している。
松阪市が位置する東海地域は航空機関連メーカーが集積し、「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」にも認定され、航空機産業の振興に官民を挙げて取り組んでいる。松阪中核工業団地内に所在する松阪工場も同特区の指定を受けている。
MRJは三菱航空機が開発する70~90席クラスの次世代民間旅客機で、大幅な燃費性能向上と騒音・排出ガスの削減を実現し、これまでのリージョナルジェット機にはない快適な客室空間を提供する。三菱航空機と製造を担当する三菱重工業は現在、2017年4~6月の初号機納入を目指し、量産段階への移行や地上試験など一体となった事業展開を進めている。
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