「夏バテ」というと、夏の終わりに暑さの疲れが出て起こるものと思っている人もいるかもしれないが、実は暑くなり始めのこの時期も夏バテ状態になりやすいのだ。特に大人よりも子どもは、熱中症をはじめ、夏バテを起こしやすいと言われている。

本格的な夏に備えて、自分たちはもちろん、子どもたちの夏バテケアについても知っておこう。

大切な子どもを夏の暑さから守る術を知っておこう

子どもの夏バテの原因は、発汗不足と栄養不足

最近、子どもの夏バテが増えていると言われている。夏バテといえば、「仕事が忙しく、疲れがたまりやすい大人世代がなるもので、子どもはあまり関係ない」と思われてきた。だが最近、子どもにも増えつつあるのだ。その原因は、大きく3つある。

遊びに夢中で熱中症になりやすい

屋外で外遊びなどに夢中になってしまうと、子どもは暑さによる体調の変化を忘れてしまいがち。水分補給などを忘れて炎天下で遊び脱水状態になると、熱中症のリスクも高まるので注意しよう。

快適室内生活で発汗しにくくなっている

昔に比べて、子どもの汗腺が低下しているという報告があるのをご存じだろうか。 汗は私たちの体温調節に欠かせないもの。汗をかくことで体の熱を放出し、クールダウンしているからだ。

この発汗に欠かせないのが、汗を出す汗腺。汗腺は、3~4歳の幼少期に発達すると言われている。ただ、昔に比べて室内遊びが多くなった子どもは、エアコンの普及もあって汗をかくことが少なくなったため、汗腺の発達が悪く気候順化が上手に行えない。それによって、体内にたまった熱をうまく放出できず、熱中症や夏バテしやすい体質になっているのだ。

お菓子やジュースばかりで、栄養が偏り暑さ負けしてしまう

子どもは暑いと、ジュースやアイスばかりを食べがち。ご飯の時間になっても、「暑いから食べたくない」と言うこともしばしばあるだろう。この食生活が夏バテを悪化させるのだ。

特にジュースやアイスなどの甘い物は、糖分の代謝にビタミンB1を多く使う。ビタミンB1は、夏バテ予防に欠かせない栄養素。甘い物ばかりでビタミンB1がきちんと摂取できていないと、糖代謝のバランスが崩れて夏バテを深刻化させてしまうわけだ。

この時期のケアが夏本番の体調を決める

これから夏本番を迎えるにあたり、気温の上昇もより大きくなる。最近では環境変化の影響もあり、猛暑日も続きやすくなった。現時点で「すでに夏バテぎみ」「暑いと疲れてしまう」などの症状があると、これからどんどんと体力がなくなる可能性がある。放っておくと慢性的な不調になり、自律神経失調症のような症状に悩まされるケースも。

夏バテに強くなるには、「大きく発汗機能を高めること」「しっかり栄養を摂(と)ること」「きちんと体を休めること」が大事となってくる。子どもたちはもちろん、この方法は大人にも活用できるので、子どもといっしょにパパ&ママもチャレンジしてみるといいだろう。

対策1 発汗習慣を持つ

エアコンが効いた室内はそれほど熱中症の心配はないが、発汗力が低下してしまう可能性がある。一定の割合で、季節を肌で感じることも重要だ。水分補給しながら、適度に運動をして発汗習慣を身につけるようにしよう。運動以外にはお風呂も有効。少しぬるめの38~40度のお湯につかる習慣をつけて、汗をきちんと出せるようにしよう。

対策2 豚肉でビタミンB群をしっかり補給

夏バテ対策に重要な栄養素は、ビタミンB群だ。特に子どもは甘い物やスナック菓子などを多く食べがちだが、その代謝にビタミンB群は必須。この栄養素が不足すると夏バテを起こしやすくなるため、意識してビタミンB群を料理にプラスしていこう。ビタミンB群が豊富な食材の代表は豚肉だ。たんぱく質も摂取できるので、とても効率的。また、ニンニクもスタミナアップに効果的なので、豚肉のニンニク風味焼きなど、工夫してみるといいだろう。

対策3 ミネラルバランスを考えた水分補給を

夏の暑い時期は、熱中症対策として水分補給は必須となる。ただ、注意すべきは飲む内容。ジュースなどの甘い飲み物は、糖の代謝にビタミンB1を使ってしまう。何よりミネラルが不十分な甘い飲み物は、飲み物中の糖質が代謝されると、残る成分は水だけということになり、発汗によって喪失したミネラルが補充できない。むしろ逆に、夏バテしやすくなってしまうのだ。また、水のみだと逆に体内の電解質のバランスを悪くすることがある。発汗が多いこれからの季節は、単なる水よりも電解質バランスを考えたスポーツドリンク的なものがお勧めだ。

対策4 一日の疲れはその日のうちに睡眠で取る

最近は睡眠時間が短い子どもが増えているが、睡眠は一日の疲れを回復するためにとても重要なもの。翌朝起きても疲れが残っているという状態が続くと、夏バテは進行しやすくなる。寝苦しい夏が来る前に、疲れを取る睡眠を心がけておくことが大切だと覚えておこう。

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