積水化学工業住宅カンパニーの調査研究機関である住環境研究所はこのほど、「時差家族の住まいと暮らし満足度」に関する調査の結果を発表した。同調査は2014年7月、沖縄県を除く全国の、25~79歳の住宅所有者またはその配偶者、かつ築15年以内の持ち家一戸に2人以上の家族で居住している人を対象として実施。2,925件の回答を得た。

戸建持ち家家族の時差家族率がやや高い

持ち家世帯の4割強が時差家族

同調査は、同社が住まい関する調査研究を重ねる過程で、夜勤・交代制勤務や不定休の家族がいるために家族間で生活時間が揃わない「時差家族」が多く存在することを受けて実施されたもの。厚生労働省実施の平成19年労働者健康状況調査によると、夜勤・交代制勤務者は全労働者の約25%を占めており、また社会的な24時間サービス提供ニーズの高まり、夫婦共働き率の増加など、今後も「時差家族」の増加が予想されるという。

まず、調査対象者の家庭が「時差家族」かどうかを聴いたところ、「家族に夜勤あり」が10%、「家族で休日が揃わない」が34%となり、4割強が家族間で生活時間が揃わない「時差家族」であることがわかった。

住まい総合満足度は「注文住宅」 > 「建売、マンション」

時差家族の持ち家、注文住宅と建売住宅で満足度に大きな差

「住まいの総合満足度」について聞いたところ、時差家族の「注文住宅」居住は「建売、マンション」居住よりも「満足、まあ満足」層が7~18%多かった。対して、時差なし家族の「注文住宅」と「建売、マンション」の満足度差は3~4%と大きな差があり、時差家族は時差なし家族に比べ、既成の住まいが適合しにくいことがうかがえた。

時差家族は、家族間時差に対する負担感が高い

時差家族は当事者より女性の負担が大きい

「家族間時差に対する負担感」を聞いたところ、「家族に夜勤あり」では52%が、「休日が揃わない」では35%が負担ありと応えた。対して「時差なし家族」では17%に止まり、負担を感じている人の割合が明らかに低かった。

属性別に見てみると。,「時差家族の女性」がより高い負担感を感じていた。女性は夜勤・交代制勤務者や土日勤務者といった、時差当事者ではなくても高い負担感を感じており、家族間時差の影響を受けやすいことがうかがえた。

「就寝環境」「家事分担」「経済性」負担軽減が時差家族の課題

時差家族は住まいの満足度が低い部分が多い

時差なし家族と比べ、時差家族は「住まいの間取り」「住まいの広さ」以外のすべての項目において、満足度が低くなった。中でも「就寝環境」「家事分担」「経済性(光熱費など)」は時差なし家族との差が大きく、満足度自体も低くなっており、これらの負担軽減が時差家族の住まいにおいて重要なポイントになることがわかった