2015年10月に予定されていた消費税率10%への引き上げは1年半先送りになりましたが、3月末に税制改正法案が参議院で可決され、2017年4月に増税になることが確定しました。景気動向によって増税を再検討する「景気条項」がなくなり、消費税10%は確実にやってくることに。私たちが今から備えておくべきことはなんでしょうか。

年収400万円で約5万円の負担増

2014年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられ、2017年4月には10%に再増税されることが確定しました。ここに、2013年10月にみずほ総合研究所が試算した消費増税による家計負担のデータがあります。

2013年段階の試算なので、実際に8%になってからの家計負担額については、総務省の家計調査などから実態を見てみる必要がありますが、おおよその負担増の金額はわかります。

年収400万円台の家庭では、消費税が5%から8%になると7万8869円の負担増、これがさらに10%になると5万2579円の増税となります。5%の時代から合計すると、実に13万1448円の負担増となるわけで、毎月1万円以上の家計負担となるのです。

前回、2014年4月の8%へ増税になる直前、さまざまな分野で駆け込み需要が発生しました。今回も同じようなことが起きるのでしょうか。

駆け込み購入に待った! 不要不急のものは慌てずに

現段階では税制改正法が成立しただけで、具体的な消費増税による減税策や軽減税率の適用品目については決まっていません。実施まで2年弱あり、消費税率10%については、あまり報道でも目にすることはありません。前回の増税時には2014年の年明けぐらいから、4月の増税に向けての記事が出てくるようになり、それと同時に、消費者は駆け込み購入を始めました。

実際、2014年1月時点で、購入数量が増えた品目では(総務省・家計調査。対前年同月比、食料品を除く)、トップが冷蔵庫で150%UP、2位は、なぜかスカートで39.3%UP、ほか特徴的な品目では、ハンドバッグ25.5%、婦人靴20.7%などが急上昇しました。1月というボーナス後の時期であることを考慮すると、一概にすべてが駆け込み需要によるものではないにしても、冷蔵庫のように大きな金額の買い物がトップというのは、やはり消費増税前に買い換えをという心理が働いたのでしょう。

これが2月になるとさらに顕著で、同じ調査ではトップがエアコンで200%UP、ついでタンス100%、ビデオカメラ100%と続き、4位になぜかメロン(78.9%)が登場します。相変わらず冷蔵庫は66.7%と高く、ほか掃除機や洗濯機などの白物家電の増加が目をひきました。

確かに白物家電などは、近いうちに買い換えを予定しているなら、消費増税前にという気持ちは理解できます。しかし、駆け込み需要に合わせて、商品そのものの価格が下がっていればお買い得だった、といえますが、実態としては、増税後の消費冷え込み対策のため、大型家電量販店などでは4月以降に大幅値下げを実施したところも多くありました。実質、増税分をチャラにし、さらに値下げに踏み切ったものも多かったのです。

今回の増税では、食品など生活に欠かせない品目については軽減税率の適用が検討されていますので、前回のような買いだめに走る人は少なくなるでしょうが、大きな買い物についても、実のところ、不要不急のものは、慌てずに慎重に対応したほうがいいのではないでしょうか。

今からできる家計防衛策は?

消費増税は一過性のものではなく、家計への影響はずっと続くのですから、何らかの防衛策が必要になってきます。

消費を抑えて節約に励むのにも限界があります。年収400万円台の家庭の負担増は5万2579円。毎月約4400円です。多いとみるか、意外とそれぐらいかと感じるかは、日々のお金の使い方にもよるでしょう。

たとえば…

  • 毎日カフェに立ち寄っている=400円×30日=1万2000円

  • ペットボトル・缶飲料=150円×30本=4500円

  • 会社帰りに、ついコンビニで買い物=500円×30日=1万5000円

  • あまり利用していないスポーツジム=1万円

  • ほとんど読まない新聞代=4500円

  • 通信代の割引=基本料金50%OFFなど

いかがでしょうか。上記のうち一つでも削減できれば、増税分はカバーできます。もう、可能な限り節約している! という家庭でも、税の軽減措置をどこまで活用しているか、まとめ払いを活用して割引特典を受けているか、ポイントカードをたくさん持っているだけで、使ったことがない…など、まだまだやれることは残っていませんか。

節約は日々1円、2円にこだわるのではなく、一度見直しをしてしまえば、苦労を感じないやり方をすべきです。携帯・スマホの契約の見直しなどは、その代表例です。生命保険も見直しで保険料の節約につながる項目ですが、昨今の若年層は、保険の入りすぎではなく、逆に不足している家庭が多く、節約にはつながりにくいでしょう。

消費増税は2年先ですが、いまから家計強化のために、持続可能なコストダウンをぜひ実践してみてください。

(※写真画像は本文とは関係ありません)

<著者プロフィール>

伊藤加奈子

マネーエディター&ライター。法政大学卒。1987年リクルート(現リクルートホールディングス)入社。不動産・住宅系雑誌の編集を経て、マネー誌『あるじゃん』副編集長、『あるじゃんMOOK』編集長を歴任。2003年独立後、ライフスタイル誌の創刊、マネー誌の編集アドバイザーとして活動。2013年沖縄移住を機にWEBメディアを中心にマネー記事の執筆活動をメインに行う。2級FP技能士。