レノボは5月28日、中国・北京でプライベートイベント「Tech World」を開催する。それに先立ち、アジアパシフィック地域における戦略について記者説明会が開かれた。

PCメーカーから変革しつつあるLenovo

Lenovo アジア・パシフィック地域担当プレジデントのロードリック・ラピン氏

今回の説明会では、コンシューマPC中心の企業から、スマホやサーバまで含めた総合コンピューティング企業へ変化しようとする姿勢が示され、スマートフォンやタブレットといったモバイル向けビジネスや、エンタープライズ市場に向けた取り組みの説明が中心となった。

Lenovoは米IBMのPC事業買収後、世界のPC市場におけるシェアを拡大してきた。説明会に登壇したLenovo アジア・パシフィック地域担当プレジデントのロードリック・ラピン氏が紹介した資料によると、2009年では6.5%だったが、2015年では19.5%のシェアを獲得。IDCの調査で世界No.1となるまで成長してきた。

PC事業の成長。現在では世界1位のポジションに

タブレットでは3番手

PC事業はlenovoにおける中核なのは間違いないが、Motorola Mobilityや、IBMのx86サーバ事業の買収によって、PCに依存する割合が変化しつつある。事業セグメント別の売り上げ構成比によると、2014年の段階では売り上げ全体の82%をPCが占めていたが、2015年前半では全体の64%となっている。PCの構成比が減少した変わりに伸びているのが、モバイルとエンタープライズだ。

各事業セグメントと、リージョンごとの売り上げ構成比。従来のPC偏重から変化しつつある

急速に伸びるモバイル事業 - 日本での展開は?

モバイル市場でLenovoはNo.3のポジションまで成長した。ラピン氏によると、2014年にLenovoが販売したスマートフォンは7,600万台で、PCを上回ったという。お膝元である中国市場がメインはあるが、中国以外の市場に向けても力をいれていくとしている。

スマートフォンではSamsumg、Appleに続く3番手のポジション。中国以外の市場にも注力していくという

Lenovoは、従来から同社が取り組んできたLenovoブランドと、買収したMotorolaブランドのスマートフォンを展開している。このうち、新興市場ではLenovoブランド、成熟市場ではMotorolaブランドの製品を展開していく考えだ。

LenovoブランドとMotorolaブランドのすみわけ、新興市場ではLenovoブランドでエントリーからメインストリームに向けた製品、成熟市場ではMotorolaブランドで、メインストリームからハイエンドに向けた製品を展開する考えだ

LenovoブランドとMotorolaブランドが展開する地域。赤い地域がLenovoブランドのみ、青い地域がMotorolaブランドのみ、黄色い地域が両方の製品を販売する。この図では日本はMotorolaブランドの展開となっているが、これはNexus 6のことだと思われる

Lenovo モバイルビジネス事業部 ディロン・イェ氏によると、スマートフォン市場全体では、成長が鈍化してきているが、インドやインドネシア、ベトナムといった新興市場では非常に強い需要があるという。フィーチャーフォンからスマートフォンへの置き換えもこれからということに加え、3Gから4Gへの移行も進むことから、アジア・パシフィック地域を大きな成長市場とみている。

インドやインドネシア、ベトナム、タイはこれからスマートフォンが大きく成長する市場と見込む

キャリア経由やリテールの販売だけでなく、オンラインストアによる端末の販売にも力を入れる

日本でのスマートフォン事業の展開について、説明会では特に触れられることがなかったが、その後行われたグループインタビューで、ラピン氏は「成熟市場ではMotorolaブランドの製品、Moto Xなどが適している」との考えを示した。

ラピン氏は2015年3月に行われた記者発表会で、2015年中盤から後半をめどに、日本のスマートフォン市場へ参入すると表明済みだ。ただし、ブランドや製品については「後日の発表」としていた。今回は日本における展開を名言したわけではないが、日本でMotorolaブランドの製品が投入される可能性が高いことが伺えた。

エンタープライズ領域でもシェア1位を目指す

Lenovo アジア・パシフィック地域 エンタープライズビジネス事業部 担当バイスプレジデント コン・メン・コー氏

一方の成長分野であるエンタープライズ市場でも取り組みを加速させる。Lenovo アジア・パシフィック地域 エンタープライズビジネス事業部 担当バイスプレジデントであるコン・メン・コー氏は、「LenovoはPCからスマートデバイス、エンタープライズ向けソリューションを広く提供できる企業だ」として、競合に対する強みを強調する。

2015年から2016年にかけて、ボリュームが期待できるラックやタワー、ストレージで積極的に製品を投入するほか、ISVで広く使われる2Pラックについても積極的に取り組んでいくという。また、OracleやMicrosot、VMware、SAPといったベンダともパートナーシップを強化し、顧客に対し価値を提供していくとした。

PC、スマートデバイス、エンタープライズソリューションを提供する

強みを保持する分野と積極的に攻勢をかけていく分野を説明。サービスや保守といった部分では強みをそのまま生かす。ストレージや2Pラックといったところでは、積極的にせめていくという

ちなみにアジア・パシフィック地域におけるエンタープライズビジネスは、売り上げの半分が日本市場によるものだ。コー氏は日本での成功をほかのアジア・パシフィック地域でも広げて生きたいとしている

変化をアピールするLenoo

このほか、説明会ではLenovoのブランドロゴの刷新も発表された。これまでの「PCメーカー」としてのイメージから脱却し、スマートフォンやウェアラブルデバイス、エンタープライズを含めた総合的なコンピューティングメーカーへの変化をアピールしたい考えた。

28日に開催されるプライベートイベント「Tech World」でも、同社 CEOのヤン・ヤンチン氏がLenovoの変革を語ると見られる。また、「Tech World」にはゲストとして米Microsoft CEOのサティア・ナデラ氏や、米intel CEOのブライアン・クルザニッチ氏、中国BaiduのCEO ロビン・リー氏の参加が予定されている。