VAIOは25日、ファン向けイベント第2弾「VAIO meeting 2015#2」を開催した。イベントでは、21日に発表されたモンスタータブレットPC「VAIO Z Canvas」の裏話と実機解体、抽選会のほか、全VAIOを試用できるタッチ&トライも用意された。

ファン向けイベント「VAIO meeting 2015#2」の様子。参加者は第1回目の「VAIO meeting 2015」と同じく、今回も抽選で選ばれた。参加人数は目算で約70名程度

会場は六本木の「VAIO Cafe」。VAIOがついに飲食事業を開始、というわけではなく、六本木ヒルズのイベントスペース「Hills Cafe/Space」で5月25日から29日まで開催するイベントとなる

「VAIO meeting 2015#2」参加者にはVAIOロゴが描かれた「VAIOラテ」も振る舞われた。「VAIO Cafe」イベント中は有料で注文できる

21日に発表された「VAIO Z Canvas」

「VAIO Z Canvas」の開発コードネームは「源心」

「VAIO Z Canvas」の開発コードネームは「Genshin」

「VAIO Z Canvas」の解説コーナーでは、開発陣から「VAIO Z Canvas」の開発コードネームが明かされた。ちなみに、2月に開催された前回の「VAIO meeting 2015」では、「VAIO Z」の開発コードネームが「Shenron」(神龍)であることが明かされている。

今回のコードネームは、「Genshin」。これは日本刀の「源心の太刀」になぞらえたもので、巧みの技によって作りこまれた日本刀は、武士がいつも携えている。これと同じく、巧の精神で作り上げられた「VAIO Z Canvas」が、最高のアウトプットを求める人の相棒になれば、という願いが込められている。そして、この"源心"という言葉自体にも、ユーザーの本当の声に耳を傾け、ユーザーの心の奥底にある琴線に触れるモノを作りたい、という思いが重ねられている。

なお、「源心の太刀」は、信州の海野口城(武田信玄の初陣の地)に立てこもった剛の者、平賀源心入道が携えていたと伝えられる刀だ。信州といえば今の長野県、「VAIOの里」であるVAIO本社がある場所でもある。

「源心」に込めた想い。同社が公開した「VAIO Z Canvas」プロモーションビデオの中にも、一瞬だけ「Genshin」の文字が表示されている

クリエイターとの「共創」を経て完成

「VAIO Z Canvas」の開発裏話では、「共創」のプロセスを通じ、いかに課題をクリアしてクリエイターの役に立てる製品に仕上げていったかが語られた。

「VAIO Z Canvas」で行われた「共創」は、クリエイターを知る、クリエイターの隠れた欲求を探る、クリエイターと確認する……といった過程を経て実現

同機は、実際にクリエイターが試作機を使うなかで挙げられた長所のポイント、短所のポイント(改善点)を、実際の製品へ落とし込む作業を繰り返して作り上げられた。このプロセスを同社は、共に作る「共創」と紹介。初期に集められた大きな不満の声は「画面の熱」「手の誤反応」「ガラスの厚み」といったものだったが、これらの声が挙げられた背景には、「集中して描きたい」というクリエイターらの潜在的な需要があった。

「集中して描きたい」――この潜在ニーズを満たすため、「VAIO Z Canvas」は高性能と、クリエイターにとっての使い勝手の両立を図った。具体的には、TDP 47WのCore i7-4770HQや、片手で操作できる独自のスタンド機構の採用などで、これを実現するには「電力設計」「放熱設計」「フリースタイルスタンド」の3点に見通しがたたないと、開発に着手できなかったという。

TDP 47WのCPUの場合システム全体で(瞬間的に)200Wのピーク電力に耐える必要がある。そのためには冷却はもちろん、安定した電源も必要。しかし可搬性を重視する同機では、ACアダプタも小さくなくてはいけない……ということで、最初は弁当箱サイズだったACアダプタは、最終的に●ロリーメイトサイズ(当初の1/4)まで小型化した

放熱設計は、ピーク電力に対応する必要がある。一般的にPCの放熱設計はCPUの規格TDP以上になるもので、TDP 47WのCPUの場合、システム全体で(瞬間的に)200Wのピーク電力が流れ、放熱設計はこの200Wをクリアする必要があった。同社は新開発の3基のファンと、立体交差するヒートパイプで冷却を実現。本来の目的である「集中」を乱すファン音の低減にも取り組んだ。

冷却ファンの試作機を作っては、副社長の赤羽氏を呼んで実際に静かかどうか聞いてもらったという。3基の回転数を調整したほか、ファンのブレードを不均等にすることで、風切音やうなり音を低減している

また、片手で自由に角度を調節できる独自のスタンド機構は、プロの道具として、「全ての角度でペンを安定して使えること」を目標に開発。倒す速度を0.1秒単位で調節したり、最小傾斜角度の設定などが行われた。

肝心の片手で調節できる機構は、ダンパーとばねとカムを絶妙に調節するという、シンプルな仕組みで完成。当初は本体より一回り小さい程度の大型のスタンドだったが、最終的に同様の機構を組み込んだソニー時代のテーブルPC「VAIO Tap 21」から80%以上の小型化を実現した。

スタンドの機構は、開発陣にとってはどこまで調整したものか、不安が残っていた。しかし、2014年に同機を展示したクリエイター向けイベント「Adobe MAX」でユーザーから驚きの声があがり、自信を持って商品化できたという

「VAIO Z Canvas」の解体ショー

「VAIO Z Canvas」の解体は、ボトムドア→ガラス→LCD部→バッテリ→SSD→無線モジュール→冷却ファン→ヒートシンク→マザーボード→LRボタン→スピーカー→スタンド→アルミボディの順に行われ、それぞれのパーツに絡めた裏話も披露された。

「VAIO Z Canvas」の内部写真

解体の様子。基板は10層で同社が得意とする高密度実装がなされている

抽選会、一等の賞品は刻印入り「VAIO Z Canvas」!

最後に行われた抽選会では、第1回目の「VAIO meeting 2015」と同じく、VAIOに関連した商品が用意された。第三等は、会場でも売られていた「VAIO Z」と「VAIO Z Canvas」を模した名刺ケース、第二等は、こちらも会場で販売している「限定Tシャツ」、そして第一等は「VAIO meeting 2015#2」刻印入りの「VAIO Z Canvas」。刻印入りモデルを当てた男性は、嬉しそうに「VAIOを買う予定だったが、下ろしてきたお金は周辺機器を買うのに充てます」とコメントした。

抽選会では、VAIO Z Canvasを買う予定だったという男性が、刻印入りモデルをゲット!

こちらもVAIOイベントではおなじみ、週アス×VAIOコラボの「ひらくPCバッグ」が展示していた

会場で販売していた限定Tシャツと名刺ケース

会場後方で穏やかに見守る赤羽良介副社長と花里隆志執行役員