東京メトロはこのほど、鉄道車両用の操舵台車の発明で全国発明表彰の発明賞を受賞したと発表した。この発明は、急曲線が多数存在する地下鉄のような通勤路線で、優れた走行性能を発揮する鉄道車両用台車の技術だという。

東京メトロ銀座線1000系

鉄道車両1台につき2台配置される台車は、2本ある車軸が平行に固定されているため、曲線通過時には車輪とレールの摩擦により騒音や振動が発生してしまう。今回表彰を受けた台車は、2台の台車にある計4本の車軸のうち、内側の2本に操舵装置を付け、曲線通過時に自動的に舵を切るしくみとした。

この結果、車輪とレールの摩擦が減少して騒音と振動が抑制され、通常の台車よりも曲線をスムーズに走行することが可能になったという。東京メトロは2012年4月から運行している銀座線1000系車両にこの台車を採用している。

曲線通過時にレールの曲線に沿って車軸の位置を調整する操舵装置を備えた台車(操舵台車)は従来からあったが、構造が複雑であるために国内での実用化は一部の特急車両に限られていた。東京メトロが発明した操舵台車は、1台の台車に2本ある車軸をすべて動かすのでなく、1台につき1本だけ動かすことで比較的単純な構造としたことに特徴があるという。

全国発明表彰は、多大な功績を挙げたか、もしくは今後大きな功績を挙げることが期待される発明や考案などを表彰する制度で、公益社団法人発明協会が主催している。