マツダはこのほど、4代目となる新型「マツダ ロードスター」を発売した。初代「ユーノス ロードスター」誕生から約25年。都内で行われた報道発表会では、約10年ぶりの刷新について、「初代の志」というキーワードを用いた解説が行われた。
「ロードスター」の基本要件は「軽量、コンパクトであること」
新型「ロードスター」の姿はすでに昨年9月に公開されており、全国のイベントや販売店などで繰り返し展示されたこともあって、発売前に写真や実物を目にした方も多いのではないだろうか? デザインだけでなく、ボディサイズや排気量といったスペックも、事前にある程度公開されていた。
それでも各方面からの関心は高く、報道発表会は入替制の2部構成で開催されたほどだ。さらにその後、同じ会場でファンを対象とした発売記念イベントも行われた。
発表会に登壇したマツダ商品本部の開発主査、山本修弘氏は、新型「ロードスター」について、「初代の志に立ち返り、ライトウェイトスポーツの原点と感じてもらえる楽しさを現代に体現することに挑戦した」と説明。同時に、「守るために変えていく」という開発理念も掲げ、単なる原点回帰ではなく変革をめざしたこともアピールした。
具体的には、「軽量、コンパクトであること」という「ロードスター」の基本要件にもとづき、初代モデルの誕生から25年の間に増えた重量と、大きくなったボディを見直している。たとえばボディサイズだが、全長は初代モデルをも下回る3,915mmとなり、歴代モデルで最もコンパクトになった。全高は先代モデルを10mm下回り、初代と同じ1,235mmに。その一方で、先代モデルから3ナンバー規格となった全幅は、さらに15mmもワイドになって1,735mmとなった。
初代モデルと同じ5ナンバーサイズへ回帰するほうがしっくりくるようにも思えたが、ワイド&ローなスタイリングを実際に目の当たりにすると、欧州のライトウェイトスポーツにも引けを取らないキャラクター性が感じられた。
エンジンは「SKYACTIV-G 1.5」を搭載。先代モデルの2リットルから1.5リットルへと大幅に小排気量化された。思いきって初代モデルの1.6リットルをも下回ったことは、税制面で評価したいところ。排気量が小さくなればエンジンが軽量になるというわけでは必ずしもないのだが、「SKYACTIV-G 1.5」は先代に搭載されていた「MZR 2.0L」に比べて14kgの軽量化を実現しているという。
一方、エンジンカバーには軽量第一の樹脂製ではなく、アルミダイキャスト製のヘッドカバーを採用するという、趣味のクルマらしいこだわりも見せている。
ちなみに、北米で販売される「MX-5 MIATA」では、先代同様「MZR 2.0L」を採用。2016年から世界各地で開催される予定のワンメイクレース「グローバルMX-5カップ」では、この輸出用2リットル車をベースとする世界統一仕様車が使われるため、ナンバー付き車両ではない(競技専用車)かもしれないが、日本でも2リットルエンジン搭載車の販売が予想される。
気持ちの良い走りが想像できるコクピットも魅力
「初代の志」に立ち返っての開発は、内装にも反映されている。初代から絶対性能ではなく、人馬一体の"人がクルマを楽しむ感覚"を重視してきたという「ロードスター」。新モデルでも「誰もが夢中になるドライビング体験」という開発コンセプトにもとづき、クルマを意のままに操る感覚を進化させているとのことだ。
実際に乗り込んでみると、ほどよく体が包み込まれるシートや、小径のステアリングホイールが印象的で、気持ち良い走りのために設計されたコクピットであることが感じられた。ヒール&トゥしやすそうなペダルの形状や配置、手首の返しだけで操作できるショートストロークシフトなどからは、軽快な走りが想像できるかのようだった。同時に、「デミオ」をはじめとした同社の新世代商品群に共通のインテリアの上質さ、質感の高さも伝わってきた。
原点回帰と変革を同時にめざしたという新型「ロードスター」。初代の志を継承したいまどきのライトウェイトスポーツという独自のプロフィールを携えたモデルといえるだろう。