「ご教授ください」と「ご教示ください」。どちらも似たような意味で使われている言葉ですが、この2つの言葉に違いはあるのでしょうか? 使い分けが難しい言葉「ご教授」と「ご教示」について御紹介します。
ご教授くださいとご教示くださいの意味と違い
「教授」は学問や技芸を教え授ける意味で使われる言葉です。一方「教示」はというと、知識や方法を教え示すという意味の言葉です。つまり「ご教授ください」では学問や技芸を教え授けてくださいという意味で使われ、「ご教示ください」は知識や方法を教え示してください、という意味で使われる言葉だと考えられます。
ただし「教授」の示す学問や技芸、「教示」の示す知識や方法のその違いが何かというと、明解にはわかりづらいもの。学問も体系化された知識と方法であり、技芸には美術・工芸・芸能などで物を取り扱うための方法も含まれるからです。
違い
そのためこの2つの言葉を明解に使い分けすることは難しく、どちらかというとより専門的な内容を尋ねたいときや、目上の方に尊敬の意味を込めて物を尋ねるときなどに「ご教授ください」を、物事の手順や方法を尋ねるときや、目上の方に指導を乞うときなどに「ご教示ください」を使うのが一般的に望ましいとされています。
ご教示やご教授を使った例文を紹介
また「ご教示ください」は口にするには少し堅い印象になる言葉。そのため話し言葉ではなく、メールや文章での書き言葉として「ご教示賜りますよう~」等の定型文で用いられることが多いようです。
「ご教授ください」も同様で「ご教授願います」等、書き言葉としてよく使われています。話し言葉では「お教えください」や「ご指導ください」等がよく使われています。
ご教示を使った例文
- 資料作成方法についてご教示いただければ幸いです。
- 今週末のスケジュールについてご教示いただけますでしょうか。
- 問題点んあどございましたらご教示ください。
ご教授を使った例文
- 先生にご教授いただけると幸いです。
- バイオリンの演奏方法についてご教授ください。
- 専門である御社の考えにういてご教授いただければ幸いです。
似ている言葉「ご指南」と「ご指導」
更に「ご教授」と「ご教示」に似た言葉として「ご指南」や「ご指導」もあります。いずれも書き言葉として用いられることが多く「ご指南賜りますよう~」「ご指導ご鞭撻のほど~」等の定型文によく用いられています。指導は目的や方向に沿って教え導くという意味、指南は武術や芸事などを教え示すという意味です。ビジネスシーンでは言葉の使い分けに厳しい人に出会うこともあるため、覚えておくとよいかもしれません。
意味が似ていて使い分けの難しい言葉が、日本語には多くあります。特に仕事上では僅かな言葉づかいを指摘されることも多いため、知識として言葉の意味を覚えておくととても助かります。是非、参考にしてみてください。