優秀な社員を採用するために、学生の内から企業が優秀な人材を確保することをあらわす「青田買い」と「青田刈り」。この2つの言葉、果たして本来はどちらが正しいのでしょうか? 似ているけれど意味の異なる言葉について御紹介します。
■青田買い、青田刈り、どちらが正しい?
青田買いのもともとの意味は、まだ収穫できない青い穂が実った田んぼを、収穫量を見越して先買いするという意味です。一方で青田刈りの場合は、青い穂が実っている収穫前の田んぼから、穂を先に刈り取ってしまうというのがもともとの意味でした。ちなみに後者の青田刈りは、敵方に兵糧を調達させないよう穂が青い内に米を刈り取ってしまい、敵方の戦力を落とすという戦国時代の戦術がその語源です。
これを企業の採用活動に当てはめて考えると、前者は優秀な人材を学生の頃(青い穂)から、将来性を見越して先に手に入れておくという意味につながりますが、後者の場合は人材を優劣問わず先に採用するという意味につながるため、本来の言葉の使い方から見れば前者を使うのが正しいということになります。
■青田売り、という言葉も
青田買いや青田刈りと似た言葉に、青田売りという言葉もあります。青田売りは稲が青い段階から田んぼの売買を行うという意味の言葉です。この青田売りは不動産業界でよく使われている言葉で、未完成の建物や宅地を売買することをあらわします。
■年齢が高い人ほど「青田刈り」をよく使う?
同じようでいて意味の異なる「青田買い」と「青田刈り」ですが、文化庁の平成16年度「国語に関する世論調査」によると、50代、60歳以上では青田買いよりも「青田刈り」を使う人が多かったことがわかっています。古いデータなので現状とはまた異なると思われますが、年齢が高い人ほど誤った「青田刈り」を使いやすい傾向にあるようです。
似ているようで異なる「青田買い」と「青田刈り」。どちらを使えばいいか迷ったときには、「青田買い」を選ぶようにしてみてください。またその他「青田」を使う紛らわしい言葉も多いため、意味の違いを考えながら使うようにしてみましょう。
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