Appleが次期iOSにおいて地図アプリに「公共交通の乗り換え案内」機能を搭載する計画だという。バス、地下鉄、鉄道が検索対象となり、iOS 9におけるアップグレードの目玉の1つとして来月6月8日開催のWWDCで紹介されることになるとのことだ。
同件は9 to 5 Macが5月22日(米国時間)に報じている。同誌によれば、もともとは昨年のWWDC 2014でiOS 8の新機能の1つとして導入される予定だったもので、発表前に機能削除が行われたのだという。iOS 9のアップデートで同機能が組み込まれることで、Apple Mapsアプリ内で車や徒歩でのルート検索だけでなく、公共交通を利用した乗り換え案内機能が有効化されるという。
では、なぜ昨年時点で機能導入を見送ったかという点だが、9 to 5 Macの考察によれば品質の"むら"とカバーされる都市の少なさの2つの理由により、Appleが直前になって見送りを決めたとしている。
実際、Appleは2013年夏に同種の乗り換え案内機能をアプリ+サービスで提供するHopStopという企業を買収しており、本来であればその改良版としての公共交通の乗り換え案内機能をiOS 8に導入可能だったはずだ。だがサービス提供地域が買収時点で米国とカナダの主要都市と、欧州の一部都市に限定されていた。
Appleが初めて独自の地図検索機能をiOS 6に導入したとき、(特に米国以外の)その品質の低さに世界各国でクレームが続出し、当時iOS開発の責任者だったScott Forstall氏が更迭されるという事態が発生している。以後、特にこのような公共性の高いサービスでのリリースには慎重を期しているとみられ、ある程度完成度が高まるまで導入しないというのは十分に考えられる話だ。
なお、HopStop買収から2年が経過し、周辺サービスの統合や機能改良もだいぶ進み、欧米の主要都市で利用するぶんには申し分ない程度の品質を備えていると予想される。一方で、国内ユーザーにとっての最大の関心事は日本でのサービスインであり、これが利用できるようになるかがiOS 9での見所の1つかもしれない。その場合、国内サービス事業者のいくつかと提携を行っているとみられ、このあたりの動向にも注目だ。