今回のユーロ圏財務相会合でギリシャ支援は何ら合意に至らなかったものの、ユーロの変動は小幅にとどまりました。市場はギリシャ債務問題については6月末の金融支援延長期限に向けた交渉の行方に注目していると思われます。

ユーロ圏財務相会合:協議進展も溝残る ギリシャ支援合意は見送り

ギリシャに対する金融支援を協議していた欧州連合(EU)のユーロ圏財務相会合(ユーログループ)は2015年5月11日の会合後に声明を公表、融資の条件であるギリシャの財政改革の内容に関してEU側とギリシャの間に溝が残ることから、決定を見送りました。声明は、これまでの協議の進展に一定の評価を示唆したものの、ギリシャ政府に改革の加速を求める内容となっています。

どこに注目すべきか:労働市場改革、第2次金融支援、国民投票

5月11日のユーロ圏財務相会合において、ギリシャ支援は何ら合意に至らなかったものの、ユーロの変動は小幅にとどまりました(図表1参照)。市場はギリシャ債務問題については6月末の金融支援延長期限(図表2参照)に向けた交渉の行方に注目していると思われます。

まず、EUとギリシャの間で金融支援で合意するには何が溝となっているかですが、報道によると、ギリシャ政府が年金制度や労働市場の改革を拒否している模様です。EUは同様の財政改善効果がある代替案の提示をギリシャに求めているとの報道もあり、これらが溝となっていると見られます。

次に、溝を埋めるための今後のスケジュールで注目されそうなのは6月18日(予定)のユーロ圏財務相会合です。第2次ギリシャ向け金融支援延長期限は6月末であり、遅くともユーロ圏財務相会合(まで)に合意して、金融支援の実施や財務省証券発行額上限の引上げなどを確保して、7月と8月の国債の償還(図表2参照)や、9月の国際通貨基金(IMF)への返済約15億ユーロへの準備が必要と思われます。今後の交渉も綱渡りのスケジュールが見込まれます。

最後に総選挙や国民投票の可能性ですが、スケジュール的に解散総選挙は実現性が乏しいと思われます。一方、国民投票はドイツのショイブレ財務相が、ギリシャ政府がやると決めるならやるべきと発言するなど(消極的ながら)実施の可能性も考えられます。仮に国民投票となった場合何が問われるかは不明ですが、緊縮財政にあくまで反対とギリシャ国民が表明すれば、それから先交渉はほぼ不可能と思われます。逆に賛成であれば、現政権の政策への不信任となる恐れもあり慎重な対応が求められると見られます。

ギリシャの返済問題、今後も解決に時間がかかりそうです。

●ピクテ投信投資顧問が提供する、「今日のヘッドライン」からの転載です。