Apple Watchが到着してから、はやくも2週間が経過した。長年腕時計の着用を避けてきた筆者にとって、左手首の異物感はストレスだが、Apple Watchによるプラスの影響があることは確かだ。本稿では、機能面を中心に、20日間ともに暮らしてみたうえでの「しばらく使って気付いたこと」を、エクササイズと音楽の2点に絞り述べてみよう。

Apple Watchと装着感

現在のところ、Apple Watchは「iPhone生態系」でのみ機能する。自律的にインターネットへ接続できないため、iPhoneとともに持ち歩かないかぎりメール送受信など"ネット端末"としては機能しない。電話の受発信は言わずもがな、アプリの追加/削除ですらiPhoneの「Apple Watch」アプリに頼らねばならない。

しかし、Apple Watchを組み合わせることで、iPhoneの使い方は確実に変わる。その代表格が「エクササイズ」で、手首に密着する腕時計型デバイスならではといえる。 Apple Watchには、モーションセンサーと脈拍センサーが内蔵されている。iPhoneにもモーションコプロセッサ(M7/M8)はあるが、脈拍センサーはない。それに、改めて比較するまでもなくApple Watchのほうが軽く運動に向いている。GPS非搭載のためルート管理はできないが、走行距離と時間、脈拍を考慮した消費カロリーはApple Watch単独で算出できる。

Apple Watch OSに標準装備のアプリ「ワークアウト」。通信圏内にiPhoneがなくても動作するネイティブアプリのため、屋外へ持ち出せる

筆者が利用しているSportモデルには、フルオロエラストマー製のバンドが付属する。一見するとシリコンのようだが、シール材など工業用途にも使われる耐久性の高さが特徴の素材だ。肌に密着させても違和感は少なく、付け心地はソフトで軽い。腕時計用のバンドとしてはあまり見かけない素材だが、Appleが吟味を重ねただけのことはある。

ただし、シール材として使われるだけあって、蒸気を通しにくいようだ。運動開始後の発汗量が少ない時点はともかく、額の汗をぬぐう気温になると若干ムレるような。手首に大汗をかく人は少ないだろうから、大した問題にはなりにくいが、これからの季節あせもが心配だ。

ムレが気にならない程度に"あそび"を持たせて装着すればいい、という考えもあるだろう。しかし、それでは脈拍センサーの測定精度が下がってしまう。脈拍センサーはゆるやかな凸を描く形状であり跡は残りにくいが、バンドをきつく締めると今度は手首に異物感が生じる。汗ばんでくるとセンサー部はバンドより皮膚に貼りつきやすく、少々不快だ。脈拍センサーのレンズはモデルにより素材が異なり、Sportの場合、光学ポリマー(Apple WatchおよびEditionはサファイアガラス)だから貼りつき感が生じやすいのかもしれないが、装着感としては微妙なことは確かだ。

手首を思いきり曲げないかぎり、脈拍センサーの緑色の光を見ることはない。しかし、素材が光学ポリマーだからか、運動で汗ばんでくるとやや"貼りつき感"がある

「ワークアウト」アプリの測定結果は、iOSアプリ「アクティビティ」で管理される