片付けの基本として、片付かない理由を正しく理解することの重要性を前回の記事でお伝えしましたが、当然ながら行動が伴わなければ意味がありません。数ある情報の中から取捨選択を行い、自分にとって片付けやすい環境を作ることが重要です。今回は、そのために必要なポイントを2つお伝えしましょう。
ポイント1: 「アクション」を見直す
アクションとは、必要なモノを収納棚などから取り出したりしまったりする動作のことです。この動作の回数が多ければ多いほど、手間がかかり面倒くさくなる……ということになります。最終的には、モノを元にあった場所に戻さずに、床に直置きしてしまうことになります。
アクションを作り出す原因はたくさんありますが、その1つは分類のしすぎです。では、「分類しすぎ」の家とはどのような家なのでしょうか?
備え付けの家具がアクションを作り出す元凶となっているケースもありますが、実際には、収納作業を行う際に、自分自身がモノを細かく分類しすぎていることが大きな原因となっているケースがほとんどです。
例えば、衣類のインナー。
① シャツ
② パンツ
③ 靴下
④ タイツ
……etc.
仮に、このようにアイテムごとに分類したとします。これをどのように収納するかで、その家のアクションの数が変わってきます。
割と小さいサイズの4段プラスチックケースにアイテムごとに分けて収納する人。この家は、アクション(モノを取り出す・しまう動作)が多い家です。これらの4つのモノがバラバラに収納されているため、すべてのアイテムの出番となると、4回も引き出しを引く必要性が生じてしまいます。
ポイント2: 収納は大きめのものを
では、アクションを減らすには具体的にどのように収納すればいいのでしょうか? オススメなのは、少し大きめの2段プラスチックケースを使うことです。
ここで紹介した例の場合、1段目にはシャツとパンツを収納します。その中で仕切り板やBOXを使って区切ります。このようにすれば、シャツとパンツを取り出す際に、引き出しを引くというアクションが1回で済みます。このような考えのもと、家にあるすべてのモノの収納を見直し、取り出したり、しまったりするアクション(動作)を減らしていくのです。
まとめ
片付けられない理由は「捨てられない」ことが原因ではなく 自身がきちんと "モノと向き合っていない" ことが原因です。そして、「区別」や「判断」は自分でしかできないことです。なぜなら、本当に必要かどうかは、その人にしかわからないからです。
アドバイザーや友人など、他人にアドバイスを求めることはとても前向きな行為で良いことです。しかし、他人に決断の「答え」を求めることはできません。ですから、片付けを実行に移すには「アドバイス」と「答え」の区別をすることが必要になります。使えるモノでも "使わない" と区別できたら、モノが本来作られた目的通りに使われるよう、売るなり、譲渡するなり「行動」を起こすべきです。
たかが片付け、されど片付け……片付けにはその人の人生感を写すほど、奥が深いものなのです。片付けがはかどらない人は、ぜひ一度、モノと真剣に向き合うことをオススメします。
監修
ハウスキーピングコーディネーターや整理収納アドバイザー、整理収納コンサルタントなど、家事の専門人材の育成と職域の開発を主な目的とする特定非営利活動法人。現場のみならず、テレビや雑誌、講演などで活躍する専門家を多数輩出している。