紫外線というと夏の強い日差しをイメージする人も少なくないだろうが、真夏同様に紫外線量が多いのが、5月と言われている。そのため、日焼け止めなどで紫外線防御をすることはもちろん、プラスαとして栄養面でも日焼け対策を考えることが必要となってくる。中でも着目してほしいのが、紫外線対策に効果的と言われるビタミンCだ。
だが、ビタミンCはポピュラーであるがゆえに間違った知識を持っている人も散見される。意外と知らないビタミンCの正しい摂(と)り方を紹介していこう。
紫外線から身を守るビタミンCの2つの働き
ビタミンCには、紫外線によってできるシミやくすみを予防・改善する効果があると言われている。その作用は大きく分けて2種類ある。
メラニン生成阻害作用
シミやくすみの元になるメラニンの生成を抑える働きとなる。「ビタミンC誘導体」として、化粧品などにかなり前から使われている作用だ。シミの原因になるメラニンの生成に欠かせない「チロシナーゼ」という酵素の働きを阻害する役割がある。
メラニン色素還元作用
既にできてしまっているシミに対する作用。紫外線などを浴び、皮膚の中にある「メラニン色素」が刺激を受けると、化学反応で酸化されて黒褐色になるのがいわゆるシミだ。この酸化されたメラニン色素を無色状態に還元することで、シミを薄くすることができると考えられている。
間違った使い方はシミを濃くする場合も
シミの原因のメラニンの生成などを抑える働きがあるビタミンCだが、「ビタミンCだったら何でもプラスに働く」という考え方は危険。ナチュラル思考のママ世代では、天然素材を使った手作りコスメが人気となっているようだが、ビタミンC成分を扱うときには注意が必要なのだ。
例えば、ビタミンCが多いレモン汁で化粧水を作ったり、レモンの輪切りでパックしたりする人がいるが、シミやくすみにはかえって逆効果となる。レモンはビタミンCを含むが、皮の部分に「ソラレン」という光感受性の成分が含まれている。その成分が紫外線を逆に吸収しようと働きかけるため、シミやくすみが濃くなってしまうためだ。
市販の化粧品は安全性を最優先に肌への影響を研究しているため、安心して使用できる。だがソラレン以外にビタミンC自体の刺激も強いことから、手作り化粧品でのスキンケアは慎重に行わないとトラブルを招くことになる。
ビタミンCはメラニンの生成を抑える働きだけでなく、肌のはりの元になるエラスチンやコラーゲンの原料にもなっている重要な栄養素。特に紫外線を浴びた肌は、メラニン色素が活性化するだけでなく、活性酸素も発生し、肌にダメージを与えやすくなる。抗酸化力があるビタミンCは、そういった点でもこの季節に必要不可欠と言えるのだ。外から塗るためのビタミンCだけでなく、食べて内側から摂(と)るビタミンCにも着目するようにしよう。
対策1 毎日こまめに摂取することが大事
ビタミンCは、一定量以上は体内に貯蓄できないという特性がある。2~3時間で排出されるので、一度にたっぷり摂(と)るよりも、3食に分けてこまめに摂(と)る方法がよい。
対策2 忙しいママ世代はスムージーなどで補給を
育児や家事などで忙しいママ世代は、かしこく効率よく摂取することが大切となる。例えば、ドタバタする朝はジュースやスムージーで簡単補給。昼はたっぷりのサラダなどを食べ、夜はあまり量を食べられないようならば、サプリメントなどで補給するといいだろう。
対策3 大量投与が有効とは限らない
ビタミンCは摂(と)ってもほとんどが尿として排出されてしまうので、多めに摂取したほうがいいという意見がある。ただ、たくさん摂(と)っても、体が貯蔵(貯蓄)できる量は限られており、余剰分は吸収しても結局は排出されてしまう。一般的には、適量は1日50mg~100mgとされている。風邪などを引いているときは少し多めでもいいが、そうでない場合はこの数値を目安にサプリメントの量などを考えてみるといいだろう。
対策4 ソラレンが含まれる食べ物は、夜食べるのがベスト
肌につけると逆にシミができると説明したソラレン。少量ならば問題ないが、ソラレンを含んだ食材を大量に食べたときには、紫外線吸収を促進する場合がある。食後2時間ぐらいが最も紫外線の吸収率が高まるので、ソラレンが豊富なものを食べる場合は、夕方~夜がいいだろう。レモンやグレープフルーツ、オレンジ、ライムなど、ソラレンが多い食材はビタミンCが豊富のため、できれば積極的に摂(と)りたいところではある。食べる時間帯を考え、上手にプラスするようにしよう。