部屋が片付かない……とお悩みの人は多いと思います。片付かない原因がわからないと、収納法は間違ったものになってしまいます。どんなに理論がわかっていても、行動しなければ片付けの意味がありません。多くの情報があふれていますが、大切なのは、すべての技術をやみくもに取り入れるのではなく、片付かない原因を知り、片付けやすい環境を作ることです。ここでは、モノが多すぎて片付けができない人に向けて、効果的な整理収納を実現する基本的な2つの考え方をご紹介します。
まずは「減らすこと」でスタートラインに立つ
必要なモノの中に不必要なモノが混在していると、必要なモノを取り出す時に不要なモノをどける(移動)という行為が発生します。さらに、掃除する際はこの不要なモノたちを移動させて掃除することになります。「片付かない家」というのは、毎日が膨大な移動の繰り返しの家になります。モノが多いということは、結果として片付けと掃除に追われてしまいます。
では、この「モノが多すぎる」ことについて考えてみましょう。
私たちは、「節約!節約!」と言っている割にはいろんなモノを買い込んで、どの家もモノであふれかえっています。そこで知ってほしいのが「整理」という概念です。
片付けにおいて「整理」が意味することは、「不必要なモノを取り除く」ということです。片付けたいけど何から始めていいのかわからず、収納本や収納用品の購入から始めてしまう人が多いと思います。でも、それは間違い。片付けを始める際は、収納用品のことまずは考えないことが鉄則です。収納ありきではなく、必要なモノだけを残す。これで管理が楽になりますし、モノが少なければ掃除もしやすくなり、キレイな環境が維持できるようになります。というわけで、まずは減らすこと……これがスタートラインです。
ポイント1: リビングから離れた場所から手をつける
まず、「どこから手をつけるか?」が問題です。
たとえ時間がかかったとしても、家全体を徹底的に「片付けでリバウンドしない環境」にしたい方は、キッチンのような生活の基本となる場所ではなく、生活スペースから遠い、納戸のような普段立ち入らない場所から開始することをオススメします。なぜなら、キッチンのような毎日使う場所で、棚から全部モノを出して、必要なモノと不必要なモノを区別して……といった作業を行うと、あっという間に夕飯の時間になってしまうからです。
床にすべてモノを出しっぱなしにしておくと、日常の家事の邪魔になるので、片付け途中のまま、荷物をまた棚に戻して……ということを繰り返すことになり、中途半端な整理しかできません。納戸のような、「物置」と考えられる場所を最初に整理して空きスペースを作ると、その場所を「モノとじっくり向き合う空間」として利用することもできます。また、友人が家に遊びに来ても、散らかっている場所を見せずにすむというメリットもあります。これにより、「明日の来客に備えて今日中に片付けなければ……」といった、時間に追われる恐怖から解放されます。
キッチンスペースに着手した際、使用頻度の低い土鍋のようなモノは、スペースに余裕の出きた納戸に収納先を移動する……といったように、最初にモノの「受け入れスペース」を作ることで作業全体を効率化します。
ポイント2: アイテム別に整理する
整理する場所を確保したら、「場所別」に整理することを考えるのではなく、モノの「アイテム別」で整理を考えるようにします。この作業における優先順位は、「要不要の判断がつきやすいモノからトライすること」です。
本なのか、写真なのか、服なのか……自分の思い入れが少なく、判断しやすいモノから手をつけると作業スピードも上がり、徐々に要不要の区別に慣れてきて、判断のスキルが向上していきます。ここで「どれだけ不必要なモノを手放せるか?」で片付けの成否が決まってきます。家の片っ端から「整理」(必要なモノだけの世界にする)を試してみてくださいね。
ただし、人のモノには手を出さない。自分のモノ、もしくは自分が判断していいモノを整理します。他人にはゴミに見えても、本人にとっては思い入れのある大切なモノかもしれません。相手を思いやる気持ちも整理には欠かせない要素ですね。
まとめ
片付けで大事なことは、モノと向き合って「区別」する時間を作ることです。モノと向き合うということは、自分と真剣に向き合うということでもあります。その結果、納得しながらモノを手放すことができるようになります。
もしそこで失敗したとしても、その失敗を受け入れるといった「気持ちの器」が生まれます。むしろ何度も失敗することで、本当のモノの大切さ、もったいなさを知り、吟味してモノを購入するテクニックが身に付きます。これは、真剣にモノと向き合って行動を起こした人でしか会得できない貴重なスキルです。快適な暮らしを手に入れるために、できることから始めてみてくださいね。
監修
ハウスキーピングコーディネーターや整理収納アドバイザー、整理収納コンサルタントなど、家事の専門人材の育成と職域の開発を主な目的とする特定非営利活動法人。現場のみならず、テレビや雑誌、講演などで活躍する専門家を多数輩出している。