筆者が個人的にお手伝いをしている就活生たちに、日々、口を酸っぱくして言っていることのなかに
親の使い方を間違えている人は失敗するし、なにより疲弊する
ということがあります。それを今回は紹介します。
間違った親の使い方「直接的に就活相談をする」
親の使い方を間違えている就活生は多いです。
例えば「どうやったら内定でると思う?」「どの会社を受ければいいと思う?」などという質問に、就活生にとって有益な回答をできる親は決して多くありません。
理由は2点。
・大人の多くは社会全体に詳しいわけではない
・親の世代の就活と現在は全く異なる
会社員の視野は非常に狭いです。もちろん自分の仕事や業界の話には詳しいでしょうが、「会社社会」の全体像を掴んでいる人なんてほとんどいません。
「銀行がいいんじゃないか」「公務員は受けないの?」などと、超安定志向のオススメをされるのが関の山です。
(※一つの情報として「親の仕事についてインタビューする」といった体であれば有益です)
そして何より、時代がまったく異なります。人によっては親が完全にバブル世代の人もいるでしょう。そうでなくても就活の方法も違いますし、いまの就活生がこなさなければいけない「就活の物量」も理解していません。
親から授かるものは「金」「自分の客観的分析」「かわいい部下、後輩像」
しかし、一方で「そもそも何も相談しない」というのも大きな機会損失です。
頼れるなら頼りませんか。
生んだ責任、取ってもらいましょう!(これは実母「タカヨ」に筆者が事あるごとに言って、その度に鼻で笑われるセリフです)
・お金を無心する
初っ端からクズ感満載ですが、決しておかしな話ではありません。
はっきり言って就活はお金に余裕がある人が有利です。賢者は就活を見越して貯金をしています。
お金が理由で受けたい企業を受けられない、バイトを詰め込まないと就活が継続できないなんて、とても悲しいことです(個々の事情がありますので難しい部分ではありますが)。
ですから、もし借りられるなら、土下座をしてでも借りましょう。
意外とみんな気付きませんが、就活の必要経費なんてどんなに高くても数十万円で、切り詰めれば社会人生活1年分の給料のなかで返済できる金額です。
奨学金など、個人によって状況は様々でしょうが、それでも返済の目途が立たない金額ではありません。
誠意を持って、素直に親にお願いするのも一つの手です。
・「自分」について素直な意見をもらう
就活では「他己分析」という「友達同士でお互いの強みや欠点を言い合う」という、筆者のような、ぼっち大学生だった人間は震え上がる手法がありますが、オススメしません。
強い絆が無ければ成立しないからです。たいていの場合で牽制し合ったり気を遣い合ったりして、マトモな効果を発揮しません。
そもそも「自分のかなり深い部分まで理解している友人」も、そう多くはないはずです。
しかし、親は自分が「ほんぎゃあ」と素っ裸で生まれ、お漏らしをしたときから現在までを、かなり間近で見ています。
そんじゃそこらの友人よりも長く、深く、自分の子どもを観察しています。
筆者も過去、誰にも話せない自分の人間性(クズ過ぎて書けない)を、何気ないときに母親に指摘されて戦慄したことがあります。
これも親子関係など難しい部分がありますが、「自分とはどういう人間なのか」を聞く機会を設けてはどうでしょうか。自己PRや企業選び、働き方、将来設計など、汎用性の高い参考になるはずです。
・「採用される人間」ではなく「かわいいと思える部下や後輩はどんな人か」聞く
上述したとおり、直接的に「受かる学生」なんていうものを聞いても、多くの親は自分の好み満載の、参考にならない持論を展開してくるでしょう。そもそも就活をよくわかっていませんから。
しかし、「かわいいと思える後輩や部下」には、あまりブレがありません。
きっと「素直」「ノリがいい」「とにかく一生懸命」「元気」、そんな回答があるはずです。しかも親は社会経験がありますから、きっとエピソードを交えながら教えてくれるはずです。
それがまさに「採用されやすい就活生像」の要素になります。
新卒一括採用なんて、会社が0から学生を育てる風習の一環ですから、上記のような「かわいい」的要素は、多くの企業で好まれます。
これを自分のなかで咀嚼して自己PRや人物像に落とし込んでいけばいいわけです。
急がば回れ、とはまさにこのことですね。
以上です。
まずはお父さんを居酒屋に、お母さんをお茶に誘うところから始めてみてはいかがでしょうか。
家庭環境に関わることなので不快に思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし筆者も真っ当な幼少期を過ごしていませんが、就活という話題を通して父親と母親を逆に理解できたことは、本当によかったと思っています。
そういう効果もありますね。
※画像は本文とは関係ありません
武野光
平成2年生まれ。「TOEIC未受験」「サークル未所属」「友達の数が片手未満」といった状況から就職活動に挑み、その体験から得た教訓をつづったブログ『無能の就活。』が大きな反響に。現在はサラリーマンと兼業で作家活動を行う。著書に『凡人内定戦略』『凡人面接戦略』(中経出版)、『就活あるある ~内定する人しない人~』(主婦と生活社)など。マイナビ2016でも、マンガ『キミ! さいよー』(石原まこちん/小学館)内で、一言コラム平成ベビーの就活用語辞典掲載