JR貨物は2013年に東海支社で先行導入した「運転士異常時対応訓練シミュレータ」について、有効性が確認できたとして、このほど全国の支社に設置を拡大する方針を明らかにした。

東海支社で使用している「運転士異常時対応訓練シミュレータ」

運転士異常時対応訓練シミュレータは、実際の機関車を再現した運転台モックアップの前方に、実際の運転席から前方を見たときと同等の視野となる液晶パネルディスプレイを設置し、線路や標識などのCG画面を映し出す方式。運転中、指導者の操作で信号の変更やATSによる非常ブレーキ動作などのアクシデントを発生させることができるという。

昨年10月に中央研修センターに導入した新形式機関車運転シミュレータで訓練を行っている関東支社を除き、北海道・東北・関西・九州の4支社に導入する計画。運転台モックアップは各支社が主力として用いている機関車と同様の仕様になり、2016年4月以降、順次使用開始する予定だ。

あわせて中央研修センターに昨年導入した事故発生線路再現ソフトウェアについても、関東を除く他の5支社への導入を決めた。これは実際に発生した運転事故現場やあらかじめ想定した事故現場を再現して運転シミュレータ前面の液晶モニタに描写することにより、その区間を模擬運転できるという機能。東海支社では今年度上期、他の4支社では2016年4月以降にそれぞれ導入される予定となっている。