熱中症にかかる人を減らすことなどを目指す「『熱中症ゼロへ』プロジェクト」の2015年プレス発表会が5月12日、都内で開催された。同発表会にはタレントのルー大柴さんやおのののかさんがゲストとして登場し、自身の熱中症体験についてのトークなどを行った。
日本気象協会が推進する同プロジェクトは、熱中症にかかる人を減らし、死者をゼロにすることを目標としている。熱中症患者の発生に多大な影響を与える気象情報の発信を核とし、2013年にプロジェクトを発足。3年目となる今年は活動を本格化させ、より積極的に熱中症対策を呼び掛けるという。
「『熱中症ゼロへ』プロジェクト」とは
総務省によると、2014年は6月から9月にかけて全国で4万48人が熱中症によって救急搬送された。同時期の過去4年の平均搬送人数(5万1,755人)に比べると約2割低い数字となっているものの、近年は熱中症患者が増加傾向にある。
同協会の執行役員 事業本部長代行の古市信道さんは、熱中症が増えている背景には、以下の3つの要因があると説明する。
■地球温暖化・都市化
■高齢者人口の増加
■知識や危機感の不足
「温暖化は気象の変動が大きくなります。突然(気温が)暑くなるときに熱中症のリスクが上りますし、都市化は最低気温がなかなか下がりにくくなります。それによって、夜間の室内での熱中症が増えています」。
温暖化などの環境にまつわる問題は、早急に解決策を見いだすことが難しい。だが、熱中症に関する情報を発信して、知識の普及・啓発に努めることができれば、熱中症による死者をゼロにする可能性を高めることはできる。
そのため、同プロジェクトは6月14日に東京都・池袋のサンシャインシティで「熱中症ゼロへ メインイベント」を開催するほか、埼玉県三郷市や福島県福島市で熱中症予防セミナーを実施するなどして、熱中症にまつわる情報を広く発信していく予定だ。
おのののか、熱中症は「鳥肌が立つくらい寒い」
発表会の後半には、熱中症の怖さを身をもって経験しているおのさんとルーさん、さらに女医・尾西芳子先生をまじえたトークセッションが行われた。
青を基調とした涼しげな浴衣姿で登場したおのさんは、昨夏に熱中症になった経験があることを告白。「体が鳥肌が立つくらい寒くなっちゃって……。でも体の中は熱がこもって、40度以上の熱が出ちゃいました。(つらさで)立っていられなくて意識ももうろうとしちゃって、そのまま病院に行って点滴を打ちました」と当時の様子を振り返った。
一方のルーさんは3年ほど前に仕事でアフリカに行った際、40度近い気温がする日に屋内にいたにも関わらずめまいを感じたという。
「すごい立ちくらみがしちゃって、インタビューをしていると目がローリングしてきちゃって、回ってきちゃって、『これはおかしいぞ』と思った」と、独特の言い回しで体験談を語った。
熱中症のメカニズム
そもそも、熱中症になるメカニズムはどのようなものだろうか。尾西先生は、汗をうまくかけなくなり、体の熱を下げられなくなることが熱中症の原因だと解説する。
「日本の夏は気温だけではなく湿度もすごい高いです。そうすると汗がうまく蒸発できなくなってしまって、熱を下げることができません。そして体の中に熱がこもってしまうのです」。
熱中症になると、最初にめまいやだるさといった症状が出てくる。そして体が脱水状態になるとけいれんが起き、最後は体温が高くなって意識を消失するという。
「めまいやだるさといった症状が出たら、まずは涼しい場所に移動して水分、特にスポーツドリンクですとか経口補水液といった塩分や少しの糖分が入ったものを飲んでいただくと、それだけで症状が治まってきます。ただ、けいれんが出てきたりとか呼びかけに反応しないといったりしたときには、躊躇(ちゅうちょ)せずに病院に来ていただきたいと思います」。
ウオーターもトゥギャザーしようぜ!
また、尾西先生はアルコールと熱中症の関係についても言及。熱中症対策には水分補給が肝要となるため、「ビールなどのアルコールも水分ですよね? 」とルーさんは質問。だが尾西先生によると、利尿作用があるアルコールは体から水分を奪ってしまい逆効果となってしまうためNG。熱帯夜の熱中症リスクも高まるため、お酒を飲む場合は一緒に水も摂取するとよいと解説した。
この事実に、おのさんは「私もすごくお酒が好きなんですけれど、意外とお酒好きの方はこの知識を知らない人が多いと思います」と驚きの表情。一方で、普段は芋焼酎を愛飲するというルーさんは「ウオーターもトゥギャザーすることによって、二日酔いもしなくなると…。そうですか、一石ツー鳥、一石二鳥ですね。これはすごい」とコメントし、会場をわかせていた。
最後におのさんは「これから暑い夏が来ると思うんですけれど、熱中症になると本当につらくて大変なので、皆さん知識と対策をしっかり身につけて今年の夏をエンジョイしましょう! 」と呼び掛けていた。