日本銀行はこのほど、2015年4月7~8日に開催した金融政策決定会合の議事要旨を発表した。それによると、1人の委員が『量的・質的金融緩和』の追加的効果を「副作用が既に上回っている」とし、金融政策の転換を提案していたことがわかった。

この委員は、金融緩和を継続することは「金融面での不均衡の蓄積など中長期的な経済の不安定化につながる懸念がある」と指摘。その上で、マネタリーベースと長期国債保有残高の増加ペースを、段階的減額を視野に入れて金融緩和導入時を下回る水準まで減額するほか、買入れ国債の平均残存期間およびETF、J-REITの買入れペースを導入時の水準まで戻すよう主張した。

また、先行きの金融政策について、物価目標の達成期間を中長期へ見直すとともに、金融緩和の早期終了や金利引き上げに向かうのではなく、「資産買入れ策と実質的なゼロ金利政策をそれぞれ適切と考えられる時点まで継続する」との表現に変更するよう求めた。

これに対し、何人かの委員は「2%の『物価安定の目標』に向けてなお途半ばである現時点での減額開始は、政策効果を減殺する可能性が高い」と指摘したほか、複数の委員は「デフレ脱却への道筋がみえてきたという段階であることを踏まえると、現時点ではデフレに戻るリスクを避けることを最優先すべきである」と述べるなどして、最初の委員の提案に反対した。