「おもてなしガイド」は、採用する事業者が対応言語を決定する部分はあるが、アプリとしては何カ国語にも対応している。イオンモールの場合は幕張新都市心見せで日本語、英語、中国語の3カ国語に対応。成田店ではこれに韓国語とタイ語を加えた5カ国語対応となっている。
汎用アプリであるため、幕張新都心店と成田店で同じアプリが使えるのはもちろん、今後実証実験に参加する交通機関などが増えてきた場合には同じアプリを各所で利用することができる。
アナウンスはあらかじめ用意されたシステムからの音声出力の場合、ひもづくテキスト情報を用意しておき送付している。迷子放送などについてもテンプレート的な部分は事前準備をしたテキストを利用し、名前や特徴といった変化する部分についてのみ音波で追加送信するような形がとれるようだ。
またスピーカーについてはヤマハ製のものである必要はなく、市役所等に備え付けの一般的なスピーカーからの出力でも利用可能だという。さらに音は人間に聞こえる必要もない。BGMをトリガーにして情報配信することもできるが、人には聞こえない音を使って場に合わせた情報を表示することも可能だという。
日本人健常者に向けたアナウンス以上の音を流すことなく、必要な人には随時わかりやすいテキストでの情報提供が行なわれるということで、健常者にとっても情報が多すぎて目的のものがわかりづらくなるというようなデメリットがないのも特徴だ。
同日から開始されるミラノ万博の日本館では同様の技術を専用アプリに組み込んだ形で利用されているほか、5月15日からは東急バスでもイオンモールと同じアプリを採用。今後はさまざまな企業や自治体と順次展開予定となっている。
ゲストスピーカーとして登壇した経済産業省 商務情報政策局 情報通信機器課 広瀬健治氏は、「日本は高齢者や障害者にくわえ、子供、女性、訪日外国人などを含めたダイバーシティ社会の創出が求められている。そのために専用の機器を用意するのは非効率的だが、それはITによって解決されると考えている。SoundUD化プロジェクトはアナウンスが聞き取れない、意味が分からないといった問題を同時に解決してくれる。また、訪日観光客による買い物消費額は2兆円をこえ、いかに楽しくストレスフリーに買い物をしてもらうかという観点は大切。このような大型ショッピングモールで実証実験が行なわれるのはよいこと」と語った。