「おもてなしガイド」は音声をトリガーにして、伝達内容をユーザーの利用言語に合わせたテキストでスマートフォンに表示するアプリだ。日本語のわからない外国人に母国語で表示するだけでなく、聴覚障害者等の音声では十分な情報を得づらい人に日本語で表示する機能も持つ。
大きな特徴は、情報の伝達にLTEやWi-Fiといった一般的な通信手段を採用していないことだ。ヤマハの技術によって音波で伝達するため、電波状況の悪い環境でも十分に利用できる。また、音声を翻訳しているわけではなく音をトリガーにしてアプリに情報を受け取らせているため、通常の日本語アナウンスだけで多言語向けの案内を行なうことが可能だ。
「現在訪日観光客は中国本土からくる人よりもタイから来る人の方が増えているが、タイ語のアナウンスはあまり見かけない。しかしタイ語、フランス語と各国語のアナウンスを追加して行くと日本人にとってわかりづらくなってしまう」とガイド言語を増やす方式の問題を語ったのは、ヤマハ 事業開発部 プロデューサー 瀬戸優樹氏だ。
音はトリガーになっているだけなので、店内アナウンスの終盤などでアプリに翻訳の指示を出しても、全文が確認可能だ。トリガーとしての音が十分アプリに聞き取れる必要はあるが、健常者が特別な注意をしなくとも内容が理解できる程度に聞こえていれば問題はないという。
実際にイオンモール幕張新都心店の店内で、営業時間中に行なわれた体験会では、来客が行き交い、迷子の泣き声なども近くでしている中で行なわれた店内放送をトリガーにメッセージがスムーズに表示された。表示される言語はスマートフォンの言語設定にあわせられるため、ユーザーはいちいち選択せず自動的に母国語でのアナウンスが受けられる。
外国人親子モニターによる「子供が迷子になった」というシーンを想定したデモンストレーションも行なわれた。こちらは通常のシステムを通した店内アナウンスではなく、リアルタイムに呼び出しを行なう形になるが、こちらでも問題なく翻訳結果が表示された。